感覚過敏研究所ウェブ制作ライターのミノリンです。
2月17日に、加藤所長とともに、通信制高校の明蓬館SNECの日野公三校長先生と公認心理師の吉田敏明先生に、感覚過敏についてお話を伺ってきました。
日野先生は、スペシャルニーズを持つ児童生徒が自立して暮らしていける社会づくりを教育の最前線の現場から行われていらっしゃいます。
ご著書「発達障害の子どもたちの進路と多様な可能性」では、「感覚過敏」についても記載があり、多くの過敏な生徒たちと向き合ってこられた先生の豊富な経験や見解を伺うことができました。
感覚過敏対談
ー今日はよろしくお願いいたします。(ミノリン)






自分の困りごとを言語化できるようになることが最初のステップです。感覚の感じ方が周りと違うと、どうしても最初は周りからの言葉に左右されがちですよね。SNECでは社会に出ていくために困りごとを自己調整していけるような方法や、困りごとと上手く付き合っていく方法を探す手伝いをしていきます。社会の中には様々なツールがありますので、それらと出会うことも大切だと思います。
同じ感覚過敏でも人それぞれ違いますし。過敏である分、疲れも溜まりやすい可能性がありますから、その疲れをどう抜いていくかを一緒に考えることも大切にしています。SNECのプログラムで言うと、体幹トレーニングで身体の使い方、いわゆる力の抜き方を覚えたり、美術で自己表現をしたりなどなど。
ーなるほど、確かに疲れ、たまりやすいですね。そこに気づくことは大切ですね。(ミノリン)


※インタビューは2020年2月に行なっており、現在は新型コロナウイルスの感染対策のため、オンライン授業を提供されています。
ー女子、男子ではどんな違いがあるのでしょうか?(ミノリン)




ー今の社会風潮が発達障害が増える原因にもなっていると言われていますが、日野先生はどのようにお感じになっていらっしゃいますか?(ミノリン)

ーなるほど、新しい時代に向かう兆しでもあるのかもしれませんね。(ミノリン)







ー感覚過敏は世の中に必要。本当にその通りだと思います。

感覚過敏は感じ方の問題だと言われています。苦手なことに対して、意味づけをしていくと、ネガティブなイメージだった感覚がそれほど悪いものではなくなっていきます。
聴覚過敏の方がイヤマフを使うなどツールを使うことで過敏さと上手に付き合っていけるようにしていく。感覚過敏とうまく付き合っていくことが大切です。

ー適材適所ですね。(ミノリン)

SNECでは自分を言語化できるようにしていくんです。自分の取扱説明書ですね。3年かけて作る子もいるんです。自分なりのヘルプカード作りです。例えば場面緘黙の子ですが、自分でポートフォリオを作りました。色々場面緘黙について調べ上げて、中国に旅行するチャレンジをしたり。今では場面緘黙のエキスパートです。強みにするということなんです。弱さをメタ認知することで社会に出ていく活力になるんです。合理的配慮を伴うならば、本人が納得する伝え方を探せばいい。
ー「自分取説」。これは過敏持ちには必要ですね。キーワードは自己選択ということですね。自分で考えて、選択していく。ところで過敏について、相談は親からも多いですか?(ミノリン)



違和感の逆は、何だと思いますか?同調しやすい(鈍磨している)平凡な人、普通の人です。過敏を持っている人から周囲が何を学ぶか。過敏の方を変えるより、周囲をどう変えるかが大切だと思います。過敏は必要です。過敏と一緒に暮らして、ストロングポイントにするのです。私は昔リクルートにいましたが、変わった面白い人がたくさんいました。それでも息苦しかったのを覚えています。自分の理想の場所は自分で作るしかないんです。
ー過敏をストロングポイントにする。発想の転換ですね!

ー自分流を貫くことが大事ですね。「武器は感覚過敏!」と言えるくらいに。素敵なフレーズですね!(ミノリン)



対談を終えて
日野先生は終始温かな笑顔で、過敏をポジティブに捉えることを実践されていらっしゃるノウハウを教えてくださいました。
一番印象に残ったのは、「武器は感覚過敏!!」
過敏を強みにしていける一助となるように、感覚過敏研究所ではこれからもたくさんの方にお話を伺って皆様にお伝えしていきたいと思います。
日野公三(ひのこうぞう)先生プロフィール
明蓬館高等学校校長1959 年愛媛県生まれ。(株)リクルート、神奈川県の第三セクター取締役などを経て、2000 年東京インターハイスクール(米国通信制高校の日本分校)、2004 年国の教育特区による初の高校、アットマーク国際高等学校を創立。自閉症作家として活躍する東田直樹氏を受け入れて以来、大きな使命感を持ち、2009 年明蓬館高等学校を創立。
明蓬館高等学校 https://www.at-mhk.com
