「大阪府立中央図書館」のカームダウン・クールダウンスペース【ケーススタディ】

カームダウン・クールダウンスペースとは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、感覚過敏によるストレスの軽減やパニックの回避やクールダウンに使用できるスペースです。今回は、大阪府立中央図書館のカームダウン・クールダウンスペースについて紹介します。


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感覚過敏研究所 インターン
いうと

感覚過敏研究所では、X(Twitter)運営やセンサリールームやカームダウンボックスなどのコラム作成などを担当しています。感覚過敏の自覚症状はありませんが、所長のビジョンに賛同し、インターンとして参画しています。

大阪府立中央図書館のカームダウン・クールダウンスペースについて

大阪府立中央図書館のカームダウン・クールダウンスペースは、1階エントランスホールに、2023年2月22日より設置されました。仕切り板の中に、2つの椅子が設けられています。

実際に見に行ってきました!カームダウンボックス体験ルポ

感覚過敏研究所インターンのいうとです。感覚過敏の自覚症状はありませんが、私の視点で見てきたものをレポートしたいと思います。

このカームダウンスペースは、正面入口から入ってすぐのエントランスホールに設置されています。このエントランスホールには、自由に使える椅子や机が設置されており、会話や飲食をすることもできます。

エントランスホールは図書館内でも人通りが多いため、人によっては、出入りに抵抗を感じるかもしれませんし、人の気配を感じて落ち着けない可能性があると思いました。

パーティションタイプのカームダウンスペースが設置されていますが、三方囲んでパーティションが設置されているため、中に人が入っているのかもわからず、また、説明書きもなかったので、勝手にパーテーションをづらして入っていいのか判断できませんでした。

利用者がいるかどうかの案内サインや、勝手に使っていいのかスタッフに声をかけて使うのかなど、説明があったほうがよさそうです。

2つのパーティションをずらして中に入る仕組みですが、パーティションを動かす際の音が大きく、動かしている時に周囲の視線が気になりました。パーティションを動かすには、ある程度力がいるので、小さな子どもや車椅子の方では開けることが難しいように感じました。

中に入ってみると、まず2つのパーティションの隙間が気になりました。調整しても、どうしても少しは隙間ができてしまうので、まわりからの視線が気になります。そして歩いている人の足音がすると、パーティションを開けられて何か言われるかもと、不安になりました。

天井を見上げると、入口付近にあるためか大きめの照明が設置されており、他の場所よりも眩しく感じました。

中には、大きなリュック1つ分ほどのサイズの椅子が2つ設置されています。身長160cm程度の私が座ってみたところ、足を十分伸ばせました。身長160cm程度の人が両手を広げるのは難しいですが、片手を伸ばすには問題ない広さでした。

大人2人での利用となると少し窮屈だと思いますが、そうでなければ十分な広さだと思います。

▼カームダウン・クールダウンスペース内での周囲の音

ライター・いうとのレビュー

大阪府立中央図書館でのカームダウンスペースの設置は、日本国内での先進的な取り組みの1つでもあり、とても素晴らしいと思います。

入口付近に設置されているため、カームダウンスペースが気になって足を止める方もいるなど、啓発にもなっていると感じました。知名度が低い中で、まずは目立つ場所に設置して、カームダウンスペースについて知ってもらうことには大きな意義があると思います。

ただ、その一方で、カームダウンしやすい状況を整えることも重要です。同じ場所でも、遮音性の高いボックス型のカームダウンスペースであれば、音や光を防ぐことができると思いますし、パーティションタイプなら人通りの少ない場所に設置することで効果は変わるでしょう。

改善点は色々とあると思いますが、設置を決めたこと自体が素晴らしいと思うので、今後も継続して設置していただけたらと思います。

所長・加藤のレビュー

カームダウンスペースを導入くださる図書館の事例ができたことは本当に素晴らしいことです。関係者の方々に感謝を申し上げたいです。

カームダウンスペースの選び方:パーテーション型を導入する場合の注意点や課題について解説」というコラムでもお伝えしていますが、カームダウンスペースの機能は大きく3つあります。それは、①人目を気にせず休憩できること、②光を遮ること、③遮音できること、です。

パーテーション型の場合は、「①人目を気にせず休憩できること」だけを満たすことになりますが、今回、分離型のパーテーションのため、隙間ができてしまったり、人通りが多い場所に設置されているために、人の気配を感じてしまうなどの課題が残っています。

カームダウンスペースは設置する環境調整が重要で、少しの工夫で改善できることもありますので、機会があればご担当者の方と意見交換できたら嬉しいです。

また、今回、体験してくれた感覚過敏研究所メンバーのレビューにもありますように、カームダウンスペース自体が啓発装置でもあります。全く人目のないところに置けば、カームダウンには最適ですが、周囲の人に、カームダウンスペースとは何か?なぜ必要なのか?は伝えられないでしょう。

この矛盾をかかえるカームダウンスペースの社会認知や普及を感覚過敏研究所で担うことができればと思っています。

引用/参考先

大阪府立中央図書館「カームダウン・クールダウンスペース」

産経新聞「空港から広がる「カームダウン・クールダウンスペース」 大阪万博は国際基準の試金石に」

Current Awareness Portal「大阪府立中央図書館、カームダウン・クールダウンスペースを設置」

スポット情報

大阪府立中央図書館
〒577-0011 大阪府東大阪市荒本北1丁目2-1
https://www.library.pref.osaka.jp/

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