「日本ガイシアリーナ」のカームダウン・クールダウンスペース(実証実験)

カームダウン・クールダウンスペースとは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、感覚過敏によるストレスの軽減やパニックの回避やクールダウンに使用できるスペースです。

今回は、アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けた実証実験として設置されている「日本ガイシアリーナ」のカームダウン・クールダウンスペースついて紹介します。(なお近くにある日本ガイシホールとは別の施設です)


この記事を書いた人

感覚過敏研究所 インターン
いうと

感覚過敏研究所では、X(Twitter)運営やセンサリールームやカームダウンボックスなどのコラム作成などを担当しています。感覚過敏の自覚症状はありませんが、所長のビジョンに賛同し、インターンとして参画しています。

日本ガイシアリーナのカームダウン・クールダウンスペースについて

2024年8月末より、「誰でも観戦しやすいアジア・アジアパラ競技大会の競技会場づくり」を目的にガイシアリーナの2階にて、カームダウン・クールダウンスペースの実証実験が行われています。なおカームダウンスペースが設置されているエリアは、イベントがない時は施錠されているので、いつでも利用できる状態ではありません。

設置されているのは、感覚過敏研究所でも取り扱っている「パオ・カームダウン」です。

実際に見に行ってきました!カームダウンボックス体験ルポ

感覚過敏研究所インターンのいうとです。感覚過敏の自覚症状はありませんが、私の視点で見てきたものをレポートしたいと思います。

このカームダウン・クールダウンスペースは、日本ガイシアリーナの2階、イベント開催時には待ち合いスペースとなる場所に設置されています。設置されている場所は、入口付近なので、分かりやすいと思いました。

(※実証実験中はいつでも見学できると思って行ってみたのですが、イベントがない時は鍵がかかっていて建物の中に入れないので注意が必要です)

市民利用の可能な「50m温水プール」の受け付けを通り、階段で2階に上がると、すぐのところにあります。プールが近いためか、移動している際などには、少しプール特有のにおいがしました。(※イベントがない時は、カームダウンスペース設置エリアには入れません)

実証実験のためか、カームダウンスペースの本体に、アンケートのQRコードやボックスの機能説明などが貼ってありました。

管理者が持つ電磁キーを使うことで、スモーク・クリアが切り替えられるようですが、電磁キーがないので体験できませんでした。これを使うと窓のスモークがなくなり、外から中の様子がわかって、万が一の時は安心です。

使用中かどうかが分かる、空室/利用中が切り替えられるプレートがつけられているのは分かりやすいなと思いました。

実際に中に入ってみると、かなり周囲が覆われており、人目が気にならない感じがしました。外よりも暗い感じがしましたが、足元と天井から光が入ってくるため、暗くて全く見えないというほどではありません。

中の様子(下の黒いものは換気扇)
正方形の椅子が2つ設置されていました

扉を開けたままにしておくことができないタイプで、中の写真をうまく撮ることができませんでした。中には2人が座ることを想定されているような椅子が設置されており、大人1人で入って横に荷物を置いたり、小さなお子様と保護者1名で使うには、ちょうど良いくらいの幅だと感じました。

反対に、そこまで広くないため、大人2人での利用や、車椅子での利用は難しそうに思えました。

ライター・いうとのレビュー

私が把握している限り、カームダウンスペースの設置は、中部国際空港に続き、愛知県内で2番目、名古屋市内では初の取り組みかと思います(学校や福祉施設除く)。今後、県内の他施設にも、カームダウンスペース設置の取り組みが広がっていくことを期待します。

また、カームダウンスペースをそのまま設置するだけでなく、カームダウンスペースの説明や空室表示プレートを取り付けるなど、使いやすさに配慮した工夫がいいなと思いました。

ただ、インターネット上の実証実験のページにも詳細な場所が記載されておらず、またガイシアリーナの施設内でも、カームダウンスペース付近以外には実証実験に関するポスターなどが見当たらないため、まだ多くの方に認知されていないように感じました。

「カームダウンスペースがあるから安心してガイシアリーナに行ける」と思える人を増やすためには、広報が重要だと考えています。

感覚過敏研究所でも、このようなコラムを通じて、カームダウンスペースを必要とされる方々に情報が届くように尽力していきたいと思います。

所長・加藤路瑛のレビュー

この実証実験は、2026年に愛知県で開催されるアジア・アジアパラ競技大会でのカームダウンスペース設置に向けた実証実験のようです。会場となる施設ではカームダウンルームの改修も計画されているようですが、部屋を用意できない場合は、ボックス型のカームダウンスペースを検討している段階かと思います。

実は周囲から、「アジア競技会でカームダウンスペースが用意されるように、そしてきちんとした運用がされるように大会側に加藤さんが働きかけてくれないか」というお声はいただいておりましたが、全く行動できておらず、今回、このような実証実験が既に進んでおり、大会側がカームダウンスペースを視野に入れていらっしゃることがわかり、とても嬉しくなりました。

私は常々、カームダウンスペース設置のアドバイスで伝えておりますが、カームダウンスペースというものは、単に箱をおけば解決するものではありません。どの場所にどのような向きで置くかという「設置箇所の環境調整」と、だれが使っていいのか、自由に使っていいのか、目的外利用の対策は?などの「設置後の運用方法」が重要です。この2つが整っていないと、どんなに機能的なカームダウンボックスを置いても、その効果は減り、利用しづらいものになていきます。そして、この部分をアドバイスや監修できるのは、現在は感覚過敏研究所しかないと自負しています。

今回、実証実験会場には私自身は行っていないので、正確なレビューはできませんが、写真で見る限りですが、設置箇所に関しては、まだまだ検討・調整が必要に感じました。アジア大会まではまだ時間がありあすので、もしご縁があれば、大会設置のご協力もできたらいいなと思っています。

今回の実証実験で利用されてる「パオ・カームダウン」は感覚過敏研究所で取り扱っております。どの場所にも馴染むシンプルな筐体と柔軟なカスタマイズが可能な点が私の評価ポイントです。また、感覚過敏研究所では各種カームダウンスペースの販売や導入・設置のための企画やアドバイスも行っております。興味のある方は気軽にご連絡ください。

所長レビューはこの人

jiei kato

感覚過敏研究所 所長
加藤 路瑛

自分の困りごとである「感覚過敏」の課題解決に向き合い、2020年1月に感覚過敏研究所を設立。感覚過敏がある人たちが暮らしやすい社会を作ることを目指し、商品・サービスの開発・販売、感覚過敏の研究や啓発に力を注いでいる。所長挨拶はこちらから

引用/参考先

名古屋市公民連携ポータルサイト「カームダウンルーム 誰でも観戦しやすいアジア・アジアパラ競技大会の競技会場づくりのための実証実験の実施(タック販売株式会社)」

スポット情報

日本ガイシアリーナ
〒457-0833 愛知県名古屋市南区東又兵ヱ町5丁目1-5
https://www.nespa.or.jp/facility/pool/index.html

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