東京理科大学のカームダウンスペース訪問&インタビューレポート【多様な学生の環境を考える】

東京理科大カームダウンスペス

感覚過敏研究所の加藤です。東京理科大学の神楽坂キャンパスに導入されているカームダウンスペースを体験し、ご担当者に話を伺ってきましたので、そのレポートを公開します。

カームダウンスペースとは、光や音などの環境刺激で疲れたりパニックになりそうな時に心身を落ち着かせることを目的にした休憩所・避難所です。

東京理科大学について

画像引用:東京理科大ホームページ

東京理科大学は4つのキャンパスがあり、カームダウンボックスが設置されているのは、東京・神楽坂キャンパスです。JR飯田橋駅から徒歩数分というとてもアクセスの良い場所にありました。神楽坂キャンパスは、理学部第一部、理学部第二部、工学部(建築学科夜間主社会人コース)、経営学部の学生が学んでいます。

[神楽坂校舎]
〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3

キャンパス前の自動販売機に大学のミネラルウォーターが売っていたので買ってみました!いざ、中へ!

カームダウンボックス見学

カームダウンスペースは、キャンパス内にある学生相談室(よろず相談室)の一角に設置されていました。学生相談室は、学生生活における悩みや困りごとを相談でき、カウンセラーや精神科の先生、職員の先生が問題解決に向けて話をきいてくださいます。

カームダウンスペースを利用したい学生は、相談室にいる職員に声をかけて利用することができます。

カームダウンボックス内に入ってロールカーテンを下ろせば、周囲の視線を気にせず休むことができます。相談室は普段は小さく音楽を流しています。これは、他の学生さんの相談内容がクリアに聞こえないようにする配慮の1つです。これまで、カームダウンスペースで休憩している学生さんから、音楽がうるさいという声はあがっていないそうです。

このカームダウンスペースは遮音・吸音材は使っていませんが、十分に静かに休憩できているとのことでした。相談室内は静かですが、学生さんの出入りはそれなりにありました。

写真:感覚過敏研究所

上記写真の左が中で休憩する様子(本来はロールカーテンをおろします)。中の明るさは上記写真右でご確認ください。ロールカーテンはあげた状態です。天井は明かりが入るように丸い穴が複数あいています。

東京理科大学に設置されているカームダウンスペースは1人用ですが、2名サイズもあります。このカームダウンスペースは、感覚過敏研究所でも取り扱っております。商品に興味がある方は、以下のページをご覧ください。

カームダウンスペースを導入した担当者にインタビュー

カームダウンスペースを大学に導入した東京理科大学 学生支援課 大村昌徳さんにお話を伺ってきました。

— 静かな場所で気持ちを落ち着かせることを希望される学生さんがいらっしゃいます。感覚過敏がある方もそうですし、PTSDのような精神疾患がある方もいらっしゃいます。そのような学生が少しでも落ち着ける場所を大学内に作りたいと思ったのが最初のきっかけです。

筑波大学さんがアクセシブルスタディルームをオープンされたのを見かけて、素晴らしい取り組みだと思いました。しかし、筑波大学のような広い部屋を神楽坂キャンパスで用意するのは難しいと思い、調べていくうちに、カームダウンスペースを知り、大学に導入できないか検討しました。

—どこに設置するかは悩みました。最終的には相談室に置くことになりましたが、比較的静かな場所ですし、職員も常駐しておりますので、安心してご利用いただけます。

—そのような学生さんもいらっしゃるかもしれませんが、現在は、どの学生も職員に「ちょっと使っていいですか?」というような感じで声をかけて利用されています。月ベースでは8−10人くらいが利用しています。

—今のところ、緊迫した状況で複数人が同時に使いたいという状況になったことはありません。ロールカーテンがおりていたら、使用している人がいるとわかるので、空いているのを確認してから職員に声をかけてくれていると思います。

—感覚過敏だけが理由ではありませんがいらっしゃいます。大学にできることは、カームダウンスペースのような場所を作って、学生に安心して大学に来れる環境を整えることです。大学でできる部分は善処しますし、相談にものります。

—他のキャンパスは、敷地も広く、空き教室もあるので、休憩できるスペースがあると判断しています。そのため、現時点では他のキャンパスへの導入は予定していませんが、状況次第かと思います。

—はい。まずは、入試だけでなく入学後の困りごとも事前に相談いただければと思っています。理系の大学ですから実験も多く、研究室にいる時間も長くなります。配慮やサポートが難しい場合もありますので、できること、できないことを明確にお伝えしています。

—他の大学や教育機関の取り組みの情報共有でしょうか。学生支援、特に感覚に関する配慮については情報が少ないので、どんな工夫や試行錯誤があったのかを共有できたらいいですね。

所長・加藤レビュー

教育機関の取り組みの情報共有はとても大事だなと思いました。大学でのカームダウンスペースの設置事例はほとんどなく、ボックス型の設置に関しては東京理科大学が最初の事例なのではないかと思っています。今回、東京理科大学のカームダウンスペースを感覚過敏研究所で取材させていただき、担当者の方と意見交換をし、お考えに触れ、それを伝えていくことは感覚過敏研究所の役目であると改めて感じました。

他の大学の先生や学生支援課の担当者さんがこのコラムにたどりつくこともあるでしょう。どこに設置できるだろうか?運用方法はどうしたらいいだろうか?消防法は問題ないだろうか?予算確保はどうしたらできるだろうか?そんな担当者のお悩みを、ケーススダディーとして提示していければいいなとも思いますし、感覚過敏研究所ではカームダウンスペースの設置相談や合理的配慮の講義なども担当しているので、気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

東京理科大学の学生支援のお考えは、理論的でありながら学生への愛があり、本当にすばらしいなと思いました。そして、私も「こんな考えの大学なら行きたいな」と思いましたし、保護者視点でも安心できると思いました。神楽坂キャンパスの学部は・・・・と調べてみましたが、少しばかり私のやりたい分野と違っていたので残念でした。と、現在、大学1年生の私は東京理科大学に通う未来を想像したくらいに魅力的な大学でした。

大学をはじめ、教育機関にもカームダウンスペースの導入が広がればいいなと思っていますし、私も普及活動・啓発活動をがんばりたいと思います。

カームダウンスペース・カームダウンボックス専門店
この記事を書いた人

jiei kato

感覚過敏研究所 所長
加藤 路瑛

自分の困りごとである「感覚過敏」の課題解決に向き合い、2020年1月に感覚過敏研究所を設立。感覚過敏がある人たちが暮らしやすい社会を作ることを目指し、商品・サービスの開発・販売、感覚過敏の研究や啓発に力を注いでいる。所長挨拶はこちらから

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