
カームダウン・クールダウンスペースとは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、感覚過敏によるストレスの軽減やパニックの回避やクールダウンに使用できるスペースです。
今回は、滋賀県立美術館のカームダウン・クールダウンスペースついて紹介します。
実際に見に行ってきました!カームダウンボックス体験ルポ
滋賀県立美術館のXアカウントの投稿で、2025年4月にカームダウンスペースが設置されたことを知り、ぜひ実際に見てみたいと思い、滋賀県立美術館へ行ってきました!
カームダウンスペースは、大きな音や眩しさ、人混みを避けられる環境に設置されていることが大事だと考えています。その上で、滋賀県立美術館のカームダウンスペースは素晴らしいと思ったので、ぜひ皆さんに共有したいと思っています。
設置場所について
このカームダウンスペースは、展示室3付近のトイレのそばに設置されています。(分かりやすいように、赤い印をつけました。)
公式サイトのマップにも館内のマップにも、カームダウンスペースの表示はまだ追加されていなかったため、今後追加されると、より分かりやすくなると感じました。

滋賀県立美術館は、ガラス張りで左右から光が入ってくる構造になっていて、開放感があります。カームダウンスペースは、ガラス張りではない場所に設置されていました。

美術館や展示スペースの入口ではないため、そこまで人通りもありません。ここを通るのは、目の前のトイレを利用される方と、スタッフの方くらいでしょうか。この後ろに、スタッフ専用の部屋の入口があります。訪問した平日の昼は、美術館スタッフの方が通られるくらいでした。

ちょうど天井に照明がありましたが、他の場所と比べてやわらかい色だと感じました。視覚過敏の方でも、眩しさを感じにくいのではないかと思います。
展示チケットが不要なエリアをすべて見て回りましたが、光があまり入ってこず、人もあまりいない、この場所がカームダウンスペースとして最適だと感じました。
▼カームダウン・クールダウンスペース内での周囲の音
近くにスタッフ専用の部屋があるため、多少話し声などが聞こえるものの、比較的静かであまり気になりませんでした。
カームダウンスペースについて
カームダウンスペースの前には、ピクトグラムとともに「この場所は気持ちを鎮めるためのスペースです。みなさまのご配慮をお願いいたします。」と、ルビ付きの説明がありました。ルビがあれば、美術館に訪れた小さなお子様にも伝わりやすいでしょうし、細かな部分まで工夫されているなと思いました。

カームダウンスペースに入る時、まわりから覗かれないかは気になるポイントですが、高さも十分確保されていますし、後ろにもパーティションがあるため安心できると思います。


カームダウンスペースは吸音パーティションでつくられており、ある程度の高さとスペースが確保されていました。身長160cm程度の私からするとちょうど良かったですが、車椅子ユーザーの方や、付き添いの方が入るには、少し狭いかなと思いました。
利用する際は、「使用しています」と書かれた看板を移動させることで、カームダウンスペースを覗かないでほしいことを伝えることができます。看板は倒れないように、やや重たくなっているので、小さなお子様が持ち上げるのは少し大変かもしれません。

1番すごいと思ったのは、耳栓やアイマスク、ブランケットを貸し出していることです。

感覚刺激の少ない場所に設置されていますが、それでも音や光を完全に遮ることはできません。耳栓とアイマスクがあれば、かなり音や光を遮ることができるでしょうし、ブランケットの温かさや重さで落ち着ける方もいます。
何より、十分に考えられたカームダウンスペースが設置されているだけで、安心して美術館に行ける人は、きっと多いだろうなと思いました。このような取り組みが、全国の施設に広がってほしいです。
また、滋賀県立美術館と同じようなカームダウンスペースの案内板は、感覚過敏研究所でも取り扱っていますので、カームダウンスペースを設置したい施設等の方は、ぜひご検討ください。

引用/参考先
スポット情報
滋賀県立美術館
〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
https://www.shigamuseum.jp/
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