「静けさ」の場所を探して――ナインチェミュージアムのカームダウンスペースを訪れて

Nijntje Museum(ミッフィーミュージアム)のカームダウンスペース情報

日本国内でも少しずつカームダウン・クールダウンスペースの取り組みが美術館や博物館に広がっています。海外ではどうでしょうか?

今回はオランダのミッフィー博物館を訪れた東京国立博物館の安部七瀬さんにレポートを寄稿いただきました。当ミュージアムのカームダウンスペースの情報は、ネットで検索しても見当たらず、ミュージアム公式サイトにも写真の掲載などがないため、国際的にも貴重なレポートではないかと思っております。(感覚過敏研究所・所長:加藤路瑛)

ナインチェミュージアムのカームダウンスペース

昨年2024年、欧州各地のミュージアムを調査する機会に恵まれ、オランダ・ユトレヒトにあるナインチェミュージアム(Nijntje Museum)を訪れました。

ここは、ディック・ブルーナの生まれ故郷にある、乳幼児向けの体験型ミュージアムです。いわば「こどもちゃれんじ」のリアル版のような場所で、館内は小さな来館者たちの甲高い声で、平日にもかかわらずかなりにぎやかでした。

訪問前、公式ウェブサイトのアクセシビリティ情報に「2 low-sensory rooms(低刺激ルーム)」と記載があるのを見つけ、「もし機会があれば、体験してみよう」と思っていました。

というのも、私自身、普段から感覚過敏の傾向があるのですが、日本では静かに休めるような場所がほとんど見つけられず、イヤホンをつけて雑踏をやりすごすのが常だからです。

エントランスを抜けて展示室へ進むと、最初の部屋の片隅に、その「low-sensory room」はありました。外側に、丸みのあるフォントで「ここは遊ぶ場所じゃないよ」という文字がオランダ語と英語で書かれていました。

過密スケジュールの中での移動疲れもあってか、にぎやかな音がキンキンと耳に響いていて、最初に思っていたような「体験してみよう」という余裕はすでになく、正直かなりしんどい状態で、ふらふらとその小箱に入っていきました。

ドアノブは内側についていて、小さな子どもが一人で開けるには少し難しいかもしれません。中に入ると、予想以上に暗い。でも完全な暗闇ではなく、小さな丸いアクリル窓からやわらかい光が差し込んでいました。

150cmの大人がかがんで入れるほどの背の高さで、幼稚園生なら難なく入っていけるサイズでした。遮音性はそれほど高くないものの、外のざわめきからは切り離されたような印象があり、静かな空気にほっと息がつけました。

入って右側の、奥まったスペースには腰掛けられる場所があり、そこには大きなミッフィーちゃんのぬいぐるみが。ちょうど幼稚園児くらいのサイズで、隣に座ってくれる友達のようでもあり、抱きしめて落ち着くための存在のようにも思えました(衛生面は少し気になるところですが)。

隣には、耳の垂れたミッフィーちゃんのお友達、「ダーン」が主人公の小さな絵本も置かれていました。(オランダ語だったため内容まではわかりませんでしたが…。)

※右の写真=暗い版の方が、実際の視界に近いです。

一呼吸して、再び展示室の調査へ。私が巡回した約2時間の間にも、カームダウンスペースを利用する様子は幾度か見かけました。1~2組の幼稚園くらいのお子さん連れが、一緒に数分間利用しては、また展示に戻っていく、といった具合でした。

この「low-sensory room(カームダウンスペース)」は、2023年の改修を機に設けられたものだそうです。ナインチェミュージアムでは、「すべての子どもが安心して楽しめるミュージアム」を目指して、展示空間のアクセシビリティを重視した改修が行われました。

点字や手話に対応したゲームも導入され、感覚過敏な子どもたちのためにノイズキャンセリングヘッドホンの貸し出しも導入されています。

これは単なる「静かな部屋」ではなく、感覚的な刺激に疲れた子どもたちが、自分のペースを取り戻すための空間。ディック・ブルーナが語った「子どもに安心できる世界を」という思いが、こうした小さな部屋の設計にも宿っているのだと感じました。

ミッフィーが生まれたこの国から、こうした「静けさへの配慮」が、世界中のミュージアムへと広がっていくことを願っています。

コラム寄稿(Special Thanks)

独立行政法人国立文化財機構 東京国立博物館 総務部環境整備課(環境整備担当)安部 七瀬様

Museum Information

Nijntje Museum
https://nijntjemuseum.nl/en/

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