葛西臨海水族園では、イヤーマフやプッシュポップなどのセンサリーグッズの貸し出しや、カームダウンスペースの設置など、センサリーフレンドリーな取り組みが行われています。
このコラムでは、葛西臨海水族園のセンサリーフレンドリーな取り組みについて紹介します。(注意:掲載内容は状況によって変更されている場合もございますので、ご了承ください)
葛西臨海水族園のセンサリーグッズ貸し出し

葛西臨海水族園では、多様な感覚の方が水族園を楽しめるように「センサリーバッグ」を用意しています。バッグの中には、イヤーマフやセンサリートイが入っています。

センサリーバッグを借りたい場合は、案内カウンターのスタッフに声をかけてください。

早速、イヤーマフをつけて園内を歩いてみる。水族館は比較的静かな印象ですが、人が多いので、ザワザワしています。またBGMも流れていました。イヤーマフを装着すると、騒がしさがワントーン静かになります。会話や緊急放送などは聞こえますので、装着して歩いて危険なことはありません。少しだけ落ち着いた雰囲気で散策できます。
葛西臨海水族園のカームダウンスペース

葛西臨海水族園にはカームダウンスペースも用意されています。

設置場所はガラスドームからエスカレーターで降りて右手すぐにあります。と言っても、見えるのはカームダウンスペースの裏側。入り口は、柱の奥になります。(出入口が人通りや人の目線が多い場所にならないようにすることもポイントです)
利用は、空いていれば利用できます。案内カウンターでセンサリーバッグを借りてからカームダウンボックスを利用すると、より落ち着けるかもしれません。(エスカレーターを降りて正面左手に案内カウンターがあるのですぐそばです)

カームダウンスペースの天井は消防法の関係で開放型になっておりますが、照明が真上に来ないように調整されています。ボックス内が暗めです。(設置しているネイビーのソファが暗くて見えづらいため、見えやすいソファーシートをかけて改善されています。このように、少しずつ改善していくことが、正解のないカームダウンスペース運用には大切です)
また、水族館でのカームダウンスペース設置は、工具の音などに敏感な魚も多いため、設置場所ではないエリアで組み立てるなどの、配慮や工夫もされておりました。魚にも人にもやさしい場所だと感じました。
葛西臨海水族園のセンサリーマップ

さらに、葛西臨海水族園はセンサリーマップも用意しています!数回、葛西臨海水族園をまわったことがありますが、葛西臨海水族園の場合は、騒がしさと人の多さがポイントだと感じました。カーペットのエリアは吸音されて音が整っていますが、床がカーペットではない空間は音が反響していますので、オーバーロード状態になる人がいらっしゃると思いますので、センサリーマップやイヤーマフなどを活用して、安心してすごせる工夫を考えていただければと思います。
葛西臨海水族園のクワイエットアワー

2026年3月3日に、クワイエットアワーの実証実験を企画されていたので訪問させていただきました。13時スタートになっていたので、少し前に園内に入りました。事前に13時からクワイエットアワーが実施されることが放送されました。
13時。園内に流れるBGMがとまりました。もともと気にならない程度の静かな音楽が流れていました。それくらいなら、流れていても影響ないのでは?と思っていましたが、実際にBGMがカットされた園内は、静かになったといいますか、「ノイズの一種類が減った」という感じで、負荷が減ったことが体感できました。これは、私にとっても驚きの体験で、静かなBGMであっても、聴覚には負荷がかかっていることを体験できました。このような、わずかな負荷は、自分でも把握できないまま浴びているものだと改めて思いました。
クワイエットアワーではBGMのカットのほか、一部の水槽でのプログラムでマイクを使わないなどの工夫もされていました。
この実証実験のあと、奇数月にクワイエットアワーを開催されています。詳細は、葛西臨海水族園のサイトでご確認ください。
葛西臨海水族園・クワイエットアワー しずかを楽しむ水族園
所長・加藤のレビュー

葛西臨海水族園の感覚にやさしい取り組みはいかがだったでしょう?「センサリーグッズの貸し出し」「カームダウンスペース」「センサリーマップ」、そしてスポットですが「クワイエットアワー」まで実施された葛西臨海水族園さんの、スピード感と徹底した実現力に感服しました。

実は私、2025年に開催された公益財団法人東京動物園協会主催「第6回教育普及シンポジウムー動物園・水族館のアクセシビリティを考える」にて、感覚過敏当事者の視点で動物園や水族館での利用についてお話しをさせていただいたことがあります。会場は、休館日の葛西臨海水族園でした。
誰もいない水族館は静かで幻想的で、感覚過敏当事者でもある私にとって理想的な鑑賞空間でした。この状態を再現できたらいいなとも思いますが、水族館を貸し切るなどは大富豪でなければできないでしょう。
では、水族館のアクセシビリティをどうすればいいのか?と言えば、今回、葛西臨海水族園さんが取り組まれたことが最適解でしょう。しかし、単に、イヤーマフの貸し出しサービスを作って、センサリーマップを用意して、カームダウンスペースを設置すれば、「対応した」「配慮した」「センサリーアクセシビリティは完璧」となるわけではありません。個別性の高い感覚への配慮はマニュアルはありません。そして、運用方法にも答えはありません。
今回、葛西臨海水族園が感覚にやさしい取り組みをスタートさせてくださったことは、日本の水族館のモデルケースとなるでしょう。運用の試行錯誤に関しては、感覚過敏研究所も協力していければと思っています。
引用/参考先
葛西臨海水族園「3/3「クワイエットアワー」を試行開催します」
スポット情報
葛西臨海水族園
〒134-8587 東京都江戸川区臨海町6丁目2-3
https://www.tokyo-zoo.net/kasai/
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