『IMPACT SHIFT2025』カームダウンスペース&イヤーマフ貸し出しサービス【開催レポート】

2025年3月1日〜2日に開催されたイベント「IMPACT SHIFT 2025」において、カームダウンスペースの設置が計画され、感覚過敏研究所が設営の協力をしました。

このコラムでは、IMPACT SHIFTでのセンサリーフレンドリーな取り組みについて紹介します。

【イベント概要】
・日時:2025年3月1日(土)・3月2日(日)
・場所:東京スクエアガーデン5F・6F(東京コンベンションホール、City Lab Tokyo 等)
・イベントHP:https://event2025.impactshift.jp/

センサリーフレンドリーな取り組み

カームダウンスペースの設置

専用のカームダウンボックスを導入することが難しかったため、会場設備のパーテーションを活用し、カームダウンスペースの設営を行いました。場所は、イベントホール前です。パーテーションの裏に、カームダウンスペースを用意しました。

↓動画を再生してご確認いただけます!

 

カームダウンスペースの内部は以下の画像でご確認ください。パーテーションのみの仕切りのため、遮音や遮光には限界がありますが、暗さを保てるように工夫しました。

中の利用状態が分からないと、利用者がいる時に中をのぞいてしまう人もいらっしゃるでしょう。そのような事態を避けるために、入口には、使用状況が分かるように「使用中/空室」の切り替えボードを吊るしました。まだ認知の広がっていない、カームダウンスペースについて知ってほしいという思いから、空室のときは、誰でも見学・体験できるようにしました。

イベント主催者によると、1時間に2−3人ご利用されているようでした。この人数には、カームダウンを目的とした方だけではなく、カームダウンスペースを勉強したい人や体験してみたい方も含まれています。また、カームダウンスペースを見学したいと申し出られた団体様もいらっしゃったようです。

イヤーマフ・センサリーバッグの貸し出し

今回のカームダウンスペースはパーテーションを活用しており、音を完全に遮断することは難しいため、イベントではイヤーマフの貸し出しも行いました。カームダウンスペース内はもちろん、会場内であれば自由にご利用いただけるようにしました。

感覚過敏研究所のオンラインストアでも取り扱っている、イヤーマフキーボード型プッシュポップなどを入れたセンサリーバッグの展示も行いました。

所長レビュー

実は設置協力をお断りしようかと思ったのです

イベントでカームダウンスペースを設置したいとご連絡をいただいたときは、とても嬉しく感じました。イベント会場にカームダウンエリアを設けることは重要だと考えており、普及させたい取り組みの一つだったからです。

しかし、今回は パーテーションしか使えないこと や 設置場所が限られていること などの条件があったため、一度お断りしようかとも考えました。中途半端なカームダウンスペースを作ってしまうと、十分な効果が得られず「必要ない」と判断されてしまい、結果として カームダウンスペースの導入を検討する人が減ってしまうリスク があるからです。

また、私は パーテーション型のカームダウンスペースには慎重な立場です。減音や遮光の効果がほとんど期待できず、使用できる場面が限られるため、適切な環境が整わない場合には慎重に判断すべきだと考えています。

カームダウンスペースの選び方:パーテーション型を導入する場合の注意点や課題について解説

しかし、思いました。完璧なカームダウンスペースなんて2025年時点には存在しないのだから、完璧を求めても仕方がない。それよりも、イベント会場で比較的設置しやすい「パーテーション」を活用し、どの程度カームダウンできる空間を作れるのかを実証実験するほうが、はるかに建設的で、今後の役に立つのではないか と考え直したのです。

まさかの、真上に照明が!!!!

準備のために会場にいくと、すでに予定エリアにパーテーションも準備されていました。しかし、私は固まってしまいます。天井の照明を遮ることができず、カームダウンエリア全体が明るすぎる。いや、逆にカームダウンスペース内にいるほうが眩しい・・・・

「この場所は厳しいな・・・でも、与えられた条件で最善を尽くして帰ろう」と少しばかり弱気な気持ちで準備をはじめましたが、

「いや、やっぱり天井がこれだけ明るいのはダメだ。これがカームダウンスペースだと思われるのは避けたい」そう考え直し、パーテーションを移動させながら照明の影響を受けにくい場所を探しました。すると、ちょうど光が入りにくい場所を見つけることができたのです。

上の写真をご覧ください。イベント側では、奥に見えるパーテーションと並行にもう一列パーテーションを並べて、カームダウンスペースを準備くださっていました。でも、写真でも少し天井に照明が見えていますが、とにかくこのエリアは眩しいのです。

それを少しだけ移動させて写真の場所にパーテーションを移動させました。

場所を少し移動させただけで、天井の照明は上の写真くらいまで遮光できました!パーテーションでカームダウンスペースを作る際は、天井の照明の位置と、パーテーションによって生まれる影を必ず確認することをおすすめします。

カームダウンスペースのために試行錯誤してくださったイベントスタッフさん

イベント開催前にオンラインで打ち合わせをし、カームダウンスペースのポイントをお伝えさせていただきました。その上で、予定している場所に窓があること、イベント会場の前であることなど懸念点は正直にお伝えさせていただきました。カームダウンには厳しい条件です。

しかし、イベントスタッフの方々は、別の階にカームダウンスペースを設置する方法や、地下の運転手控室を活用できないかなど、さまざまな可能性を探り、施設側とも交渉してくださいました。

イベントで借りられるスペースの枠を超え、来場者のことを第一に考え、カームダウンできる場所を探し続けるその姿勢に、私自身も多くを学ばせていただきました。

そう、何事もあきらめたいこと。よりよい方法がないか探し続けること。その最中で最善な方法を見出すこと。

カームダウン・クールダウンスペースは、まだ黎明期にあります。試行錯誤を重ねながら、みんなでよりよい空間や設備を築いていく必要があります。この社会に広がる直前の貴重な時期に関われることは、私にとって 使命であり、喜びでもあります。

この 『IMPACT SHIFT 2025』の取り組みをきっかけに、イベントでのカームダウンスペースの導入がさらに広がっていくことを期待しています。

この記事を書いた人

jiei kato

感覚過敏研究所 所長
加藤 路瑛

自分の困りごとである「感覚過敏」の課題解決に向き合い、2020年1月に感覚過敏研究所を設立。感覚過敏がある人たちが暮らしやすい社会を作ることを目指し、商品・サービスの開発・販売、感覚過敏の研究や啓発に力を注いでいる。所長挨拶はこちらから


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