上野動物園「のんびり楽しむ動物園 ―ドリームナイト・イブニング―」2025でのカームダウンスペース【レポート】

「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」という取り組みはご存知でしょうか?障害のあるお子さまとそのご家族を閉園後の動物園にご招待し、楽しんでいただく取り組みです。1996年にオランダのロッテルダム動物園で始まり、国際的に広がりのある取り組みとなっています。

日本国内でもその趣旨に賛同し、動物園や水族館で同様のイベントが広がりつつあります。

今回は、2025年6月9日(月)に上野動物園で開催された「のんびり楽しむ動物園水族園 ドリームナイト&イブニング」の中で、感覚に配慮した取り組みにフォーカスして紹介させていただきます。

上野動物園「のんびり楽しむ動物園 ―ドリームナイト・イブニング―」

2025年度の「のんびり楽しむ動物園 ―ドリームナイト・イブニング―」は、上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園の4園が6〜7月に開催を計画。それぞれの園で障害があるお子さまとご家族が楽しく過ごせるような取り組みを行っています。

イベント概要

  • 日時:2025年6月9日(月)14時~18時

  • 対象:「身体障害者手帳」「療育手帳(愛の手帳)」「精神障害者保健福祉手帳」「小児慢性特定疾病医療受給者証」「通所受給者証」をお持ちのお子さまとそのご家族または介助者

  • 定員:3,500名 ※事前申込制(申込多数の場合は抽選)

※その他イベント詳細は、東京ズーネットさんのウェブサイトがわかりやすいです。

感覚にやさしい取り組み(1)センサリーマップ

画像:上野動物園より

来場者の方に、センサリーマップを作成。園内のにおいがある場所、さわがしい場所などをマップの表示しています。

感覚にやさしい取り組み(2)カームダウン・クールダウンスペース

カームダウン・クールダウンスペースは、「正門」と「弁天門」付近にそれぞれ用意されました。

1日だけのカームダウン・クールダウンスペースになるため、手軽に設置し、収納できるテント型で準備されました。

上記写真は正門付近の「UENO ZOO STUDIO」内に用意されたもの。中に椅子が1脚設置されていますが、周辺に複数用意し、自由に出し入れできるようになっています。(※弁天門も同様です)

また、真っ黒なテントに入るのを怖がるお子さまもいらっしゃると思いますが、薄手の生地のため、写真左のように、外の光が淡くテント内に入り、真っ暗にならないようになっています。テント内で利用できるランタン照明も設置されました。

感覚過敏研究所の所長・加藤のレビュー

ドリームナイト開催日の前日、6月8日の閉園近くに上野動物園を訪問させていただきました!イベントのために用意くださるカームダウン・クールダウンスペースの状況を確認し、助言や意見交換を行いました。

今回はワンタッチで広げられる室内用個室テントを採用いただきました。テント型は、短期間のイベントでカームダウンスペースを作りたい時に最適です。ただ、設置する空間・環境が重要になるので、どのような場所に置かれるのかは、気になるポイントでした。

実際の設置場所を見て、とても安心できました。正門付近の設置場所である「UENO ZOO STUDIO」は小屋のような建物で、空調もきいており、建物に入ると園内のザワザワした喧騒が静かになり、建物自体がカームダウン・クールダウンスペースでした。

弁天門はスタッフが常駐する受付内に用意されており、運用上も安心ポイントでした。

次回に向けて

今回のイベントにおいて、上野動物園がカームダウン・クールダウンスペースをご用意くださったこと自体、とてもありがたい取り組みでした。

一方で、改善点として挙げられるのは、このスペースの存在が事前情報として告知されていなかった点です。カームダウンスペースは、実際にどれだけ利用されるかといった「利用者の数」が重要なのではありません。大切なのは、「上野動物園のドリームナイトにはカームダウンスペースが設けられている」という情報が、事前に届くことです。

その情報を見て、「もしかしたら行けるかもしれない」と思える方やご家族がいることこそが、カームダウンスペースの意義でもあります。

次回の開催では、ぜひ事前に情報発信をしていただければと思います。また、感覚過敏研究所としても、企画段階からご一緒させていただき、情報提供などのお手伝いができればと考えております。

そしていつか、上野動物園に常設のカームダウンスペースが設置されたらいいなと思っています。

五感にやさしい取り組みの情報提供をお待ちしています

感覚過敏研究所では、カームダウンスペースやクワイエットアワー、センサリールームなど、感覚にやさしい取り組みを紹介するコラムを公開しています。しかし、感覚過敏研究所のメンバーだけでは、その全てをカバーするのは難しい状況です。

そこで、みなさんからの写真や動画のレポートを募集します!一緒に五感にやさしい社会づくりを目指しましょう!みなさんの協力をお待ちしています!

五感にやさしい空間事例に関するコラムポリシー

感覚過敏研究所では国内外のセンサリーフレンドリーな取り組みを体験レポートやケーススタディーとしてコラム掲載しております。

注意1:コラムの種類

当サイトの五感にやさしい空間事例に関するコラムには、以下の2種類があります。

  1. 取材や体験をもとにしたコラム
  2. 公式サイト・メディア・SNSなどで公開されている情報をもとにしたコラム

この分野の情報はまだ少なく、本サイトではできるだけ多くの有益な情報を発信することを目的としています。

注意2:取り組み事例へのレビュー

事例紹介では、体験者や当研究長スタッフや所長、有識者によるレビューとして、問題点や改善点を記載させていただく場合があります。これは取り組みを否定・批判する意図ではなく、五感にやさしい空間を社会に増やしていくための建設的な意見としてお伝えするものです。

当研究所では、掲載させていただくすべての取り組みに対し、深く感謝と敬意を抱いております。ご理解いただけますと幸いです。

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