
感覚過敏研究所SDI推進室のサイトで、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品などの国内外の事例を紹介しております。多くの事例をお伝えしながら、目に見えない感覚におけるダイバーシティ&インクルージョンを考えるきっかけになればと考えています。
カームダウンスペースとは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、感覚過敏によるストレスの軽減やパニック(メルトダウン)の回避やクールダウンに使用できるスペースです。今回は、羽田空港のカームダウンスペースについて紹介します。
羽田空港のカームダウンスペースについて
このカームダウンスペースは、2020年12月3日に日本空港ビルデング株式会社によって設置されました。
カームダウン・クールダウンスペースは、第1ターミナル、第2ターミナル2階国内線出発保安検査場通過後エリアに設置されています。
先に利用されている方が居ないのであれば、ご利用の航空会社を問わず、どなたでも予約不要で利用できます。
感覚過敏当事者が体験ルポ!
以下、感覚過敏コミュニティのメンバーの澪標 燈(.3g2)さんが、羽田空港を利用された際に撮影した写真や動画です。また、設置箇所の環境を含めた感想も感覚過敏当事者の視点でコメントいただきました。
羽田空港第2ターミナル保安検査C横のカームダウンスペース



▼カームダウンスペース内での周囲の音
【感想】隣が優先保安検査場とは言え自動バギーが通ったり、人通りそのものが多いので、カームダウンやクールダウンには繋がりにくいという現状です。 ただ非常に分かりやすい場所にある事は、使用する上で良いと思われます。
羽田空港第2ターミナル保安検査A前(59番横)のカームダウンスペース



▼カームダウンスペース内での周囲の音
【感想】スピーカーの近く、かつ、保安検査場の前に設置されているので、カームダウンには適さない場所かもしれません。 同様に分かりやすい場所にはある為、周知には良い場所であると思われます。
※今回は、「保安検査C横」と「保安検査A前(59番横)」の写真と感想をいただきました。他の2か所のカームダウンスペースの体験レビューや写真のお持ちの方は、ぜひご連絡ください!
羽田空港のカームダウンスペースの場所は?
羽田空港のカームダウンスペースは、第1ターミナル、第2ターミナル、それぞれ2か所、以下の場所に設置されています。
【第1ターミナル2階】
・A検査場付近
・17 番搭乗口およびキッズコーナー付近
【第2ターミナル2階】
・A検査場付近
・C検査場付近
(地図上では小さくて場所がわかりにくいので、赤いマークをつけました。)


また、ヘルプマークとカームダウン・クールダウンスペースのピクトグラムが設置してあり、館内情報を伝えるタッチパネルでも紹介されています。

写真・動画提供:澪標 燈(.3g2)※かびんの森メンバー
所長・加藤路瑛のレビュー
バリアフリー改正法のもと、公共機関、特に空港施設は感覚特性に配慮したカームダウン・クールダウンスペースの設置が進んできている印象です。
カームダウン・クールダウンボックスの難しい点は、人通りのない静かな場所に設置すれば、人にその存在を知ってもらえないことです。逆に言えば、気がついていただけるようにわかりやすい場所にけば、カームダウンにはならない騒がしさの可能もあります。
静けさをとるか、アクセスのしやすやをとるかの悩ましい選択です。

上の写真は、羽田空港第1ターミナル2階、A検査場付近に設置されたカームダウン・クールダウンボックスの写真です。壁側に置かれていますので、このエリアの刺激でパニックが起きた場合の避難所としては十分だと思います。周囲の目から解放されることも大切だと思います。
カームダウン・クールダウンボックスというものは日本特有のものです。海外の空港では、ラウンジのような大きなセンサリールームが用意されているケースがあります。簡易のボックスは手軽に設置できますが、中に入る心理的ハードルも高く、安全性なども不安視する声もあります。センサリールームが普及するための1ステップとして、重要な役割を担ってくれるとも思っていますので、これあらもカームダウン・クールダウンボックスの動向にも注目です。
感覚過敏研究所でも、カームダウン・クールダウンボックス設置のご相談やを承れますので、お気軽にご連絡ください。
クワイエットアワーを広めたい!
センサリールームやクワイエットアワー、センサリーマップは感覚刺激に強い反応をする方々にとって安心できる空間・時間・ツールです。日本ではまだ浸透していない取り組みです。感覚過敏研究所SDI推進室としても、センサリールームの社会実装に力を注ぎたいと考えております。ご賛同くださる方、ともに社会実装に取り組んでくださる企業様・パートナー様を広く募集しております。
注)当記事は日本社会に向けて、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品の重要性をお伝えするものです。感覚過敏研究所SDI推進室が取り組んだ実績ではございませんので、ご了承ください。
引用/参考先
羽田空港「2F 出発ロビー(国内線)・到着ロビー(国際線)」
文:いうと