感覚過敏研究所のSDI推進室について

センサリーダイバーシティ&インクルージョンって何でしょう?


私たちの感覚は一人ひとり感じるものが違います。
同じ青色を見ていると思っていても隣の人が感じた「青」と、あなたの感じた「青」は違うかもしれません。
同じお店の同じケーキを食べたとして、あなたの側にいる人が同じように「おいしい」と感じたかはわかりません。

このように私たちの感覚は多様です。けっして、誰かの感覚を軽んじることがあってはいけません。
それぞれが感じる、または感じ取る「感覚」を尊重し、違を受け入れ、その感覚で社会生活の中で困りごとを抱えてしまう人がいたら、みんなで良い道を考ましょう! というのがセンサリーダイバーシティ&インクルージョン の考えでです。

と言いましても、海外でも良く使われる言葉かというとそうではありません。センサリーは感覚をあらわす英語です。ダイバーシティ&インクルージョンはどちらも多様性を表現する言葉で、「D&I」として日本でも使われる言葉です。また、脳の多様性を表現する「ニューロダイバーシティ」は最近、多くの場面で見聞きするようになった言葉です。

感覚過敏研究所では、それらの単語を組み合わせて、「センサリーD&I」として、感覚の多様性ある社会の実現に向けてSDI推進室と名付けましたが、分かりにくいので何か親しみやすい言葉はないかな?と考えています。(アイディアも募集中です)



感覚特性や感覚の多様性に配慮した社会の必要性

感覚の過敏さがあると日常生活は困難なことの連続です。解決方法や緩和方法もない現状で、感覚過敏の方々の生活を支える方法は多くはないのが現状です。しかし、空間や時間などを五感に配慮したものにする工夫は今すぐにでもできることです。たとえば、

  • お店や施設の照明やBGMを落とした時間帯を設定し、感覚過敏のある人が安心して来店・滞在できるようにする(クワイエットアワー)
  • 光や音に配慮した空間を作り、ライブやスポーツ観戦を楽しめる機会を提供する(センサリールーム)
  • 施設内に落ち着ける空間を用意し、安心して滞在できるようにする(センサリールーム、カームダウンスペース)
  • 街や施設の五感情報(音がうるさい場所、ニオイが出ている場所など)をマップ化することで、苦手な場所を回避し落ち着いて行動することができる(センサリーマップ)

などです。

感覚は目に見えず、他人の感覚を体験することができないため、これまで感覚の過敏さで困っていることがなかなか認知されない社会でした。しかし、今、世界では少しずつ感覚に配慮した取り組みが増えてきています。



感覚過敏研究所SDI(センサリーダイバーシティ&インクルージョン)推進室ができること

  • センサリールームやクワイエットアワー導入のご相談やコンサルティング
  • センサリールームやクワイエットアワーの導入や運営方法のご相談やサポート
  • センサリーマップの作成と実地調査
  • ソーシャルグッドな取り組みのプロモーションや企業ブランディング
  • 感覚過敏の当事者やご家族への情報提供
  • センサリールームやクワイエットアワーの導入や運営のためのスポンサーの獲得
  • センサリーフレンドリーな商品開発、テストモニター、官能評価
  • センサリーフレンドリーな空間・時間・商品・サービスの認定
   

センサリールームやクワイエットアワーは自分たちで企画・導入はできても継続的な運営や社会的なプロモーションは難しい部分です

1日だけクワイエットアワーをやってみる、単発でセンサリールームをやってみることはできるかもしれません。当サイト、感覚過敏研究所SDI推進室のサイトには事例も掲載しております。事例を見ながら用意することはできるかもしれませんが、実際の運用となると、当事者目線がなく準備不足なこともありますし、継続的な運営をどうしたらいいか悩まれるかもれません。

また、せっかく良い取り組みをしているにもかかわらず、「知ってもらえない」という状況になると継続した取り組みは難しくなります。

感覚過敏研究所SDI推進室では、一般的なアドバイスではなく、導入企業や施設の状況を見ながら適切な空間のご提案や運営方法をご案内いたします。

また、感覚過敏当事者やその家族が集まる感覚過敏研究所を起点に、必要とする方々への情報発信とともに、メディアなどへの情報提供やプロモーションなども担当することができます。企業のSDGsの取り組みの一環として、ぜひ、センサリーダイバーシティ&インクルージョンの取り組みをご検討ください。

海外ではセンサリーダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが浸透してきています。日本においてもセンサリーフレンドリーな社会をみなさまと一緒につくっていきたいと思っています。

ケーススタディ

国内外で展開されているセンサリーダイバーシティ&インクルージョンの取り組みをご紹介いたします。
※自社実績でない事例を含んでいます。

事例:センサリールーム

センサリールームは、音や光、ニオイなどの五感の刺激を少なくし、聴覚・視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごせる空間・部屋のことです。

同じ「センサリールーム」という呼び名でも実際は3種類あります。

  • 感覚刺激を少なくしスポーツ観戦やライブ観戦などを楽しめるスペース

    東京ヴェルディのセンサリールーム

    感覚刺激を少なくしスポーツ観戦やライブ観戦などを楽しめるスペース

    サッカーやバスケットなどのスポーツ施設やライブ会場などで、周囲の音や光などを気にせず観戦や鑑賞を楽しめるスペースです。(写真:東京ヴェルディにて。撮影:感覚過敏研究所)

  • 感覚・感情を落ち着かせるスヌーズレンを利用したセラピールーム

    スヌーズレン

    感覚・感情を落ち着かせるスヌーズレンを利用したセラピールーム

    スヌーズレンは、知的障害や精神疾患がある方が感覚刺激を自由に楽しめる空間やプレイセラビーとして福祉施設や医療施設に導入されるだけでなく、海外では一般家庭に、子どもたちの感性や感覚を育むアプローチとして取り入れられています。

  • 公共施設や商業施設において感覚刺激を回避できるスペース

    カームダウンスーペース

    公共施設や商業施設において感覚刺激を回避できるスペース

    感覚刺激に疲れた時に、気持ちや体調を整えるために一時的に避難したり休憩するためのスペースです。「カームダウン・クールダウンスーペース」と呼ばれています。

事例:カームダウンスペース・クルーダウンスペース

カームダウン・クールダウンスペースとは、音や光、ニオイなどの五感の刺激をやわらげ、感覚過敏の方のストレスを緩和したり、感覚刺激によるパニック(メルトダウン)を落ち着かせることができるスペース(避難所)です。

一般的には「センサリールーム」がその目的を果たしますが、2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けたバリアフリーの取り組みの中で、自閉症スペクトラムや知的障害の方々の感覚刺激のよるパニックから落ち着ける場所の設置とピクトグラムの策定が行われ、その際に「カームダウン・クールダン」と名称が決定しました。

  • パーテーション型の事例

    羽田空港のカームダウンスペース

    パーテーション型の事例

    羽田空港のカームダウン・クールダウンスペースです。パーテーション型で椅子が1つ置かれています。(写真:羽田空港より、撮影:かびんの森メンバー)

  • 箱型の事例

    成田空港のカームダウンボックス

    箱型の事例

    成田国際空港の箱形のカームダウン・クールダウンスペースです。中に椅子があり、ロールカーテンをおろして利用することが可能でです。(撮影:感覚過敏研究所)

  • 部屋型の事例

    札幌千歳空港のカームダウンルーム

    部屋型の事例

    札幌千歳空港のカームダウンルームです。(写真:札幌千歳空港サイトより)

事例:クワイエットアワー

Quiet Hour(クワイエットアワー)とは、お店のBGMや照明を落として、感覚過敏の方が落ち着いて買い物や館内滞在できる時間帯やキャンペーンデーのことをいいます。

欧米諸国の大手スーパーマーケットでは、積極的にクワイエットアワーを導入されています。クワイエットアワー導入時間の売上が他の時間帯より10%アップしたというレポートもあるようです。また、照明やBGMなどを落とすことによって光熱費の削減にもつながります。

事例:センサリーマップ

Sensory Map (センサリーマップ)とは、光や音、ニオイなどの五感情報をマップに表示させたもので、感覚過敏や感覚特性がある人は、その感覚情報を見て、その場所を回避したり、対策を考えてその場所に行くことができます。

また、静かな場所、休憩場所、センサリールームやカームダウンスペースなどのマップ情報があると、感覚特性がある方々も安心して外出できます。

  • 公共交通機関
  • 商業施設
  • テーマパーク
  • 動物園
  • 博物館
  • 美術館
  • 観光地など

メンバー

  • 加藤路瑛/ Jiei Kato

    加藤路瑛/ Jiei Kato

    株式会社クリスタルロード代表。感覚過敏研究所所長。感覚過敏の啓発活動、感覚過敏に関する商品・サービスの企画・開発・販売、感覚過敏の研究を行う。聴覚・嗅覚・味覚・触覚の過敏さがある。SDI推進室では、当事者目線でのコンサルティングをはじめ、導入企業のプロモーションを含め総合的なプロデュースを担う。

  • 大畑 慎治/Shinji Ohata

    大畑 慎治/Shinji Ohata

    ソーシャルグッドの社会実装プロデューサー。O ltd.代表。Makaira Art&Design 代表。早稲田大学ビジネススクール ソーシャルイノベーション講師。感覚の多様性を社会・ビジネス・日常生活に実装していくためのプロジェクトデザイン、企画プロデュース、事業&ブランド開発、クリエイティブ&コミュニケーション、パブリックアフェアーズを担当する。

  • 黒川駿哉/Shunya Kurokawa

    黒川駿哉/Shunya Kurokawa

    精神科医・児童精神科医。感覚過敏研究所・医療アドバイザー。医学博士、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会認定産業医。センサリーインクルーシブ推進室のでは、センサリールームやクワイエットアワーなどの医療監修を担当する。

  • 前田佳宏/ Yoshihiro Maeda

    前田佳宏/ Yoshihiro Maeda

    和クリニック院長、東京大学病院精神神経科医局所属。精神保健指定医。発達障害、愛着障害、トラウマを中心につながりをケアする医師。精神分析、認知行動療法、家族療法のアプローチだけでなく、イメージと感覚を用いた治療も行う。しなやかなこころを育てるコーチングオンラインサロン「しなここラボ」、価値を押しつけず問いを深めあう哲学対話「ゲーテカフェ」主催。 サッカースタジアムの医療監修の経験からSDI推進室に参加。

  • 小川修史/Hisashi Ogawa

    小川修史/Hisashi Ogawa

    兵庫教育大学大学院学校教育研究科・准教授。博士(工学)。専門は教育工学。ICT活用した発達障害支援が専門。一般社団法人日本障がい者ファッション協会・副代表。センサリーインクルーシブ推進室では加藤とともに、センサリールームやクワイエットアワーなどの効果に関する共同研究を行う。

  • 荒井宏之/Hiroyuki Arai

    荒井宏之/Hiroyuki Arai

    キュレーションズ株式会社Principal, Innovation Strategy Design。チガサキベンチャーズ合同会社 共同代表パートナー。イノベーション戦略デザイナー、事業創造ファシリテーター。株式会社クリスタルロード社外取締役。センサリーインクルーシブ推進室では企業アライアンスを担当。

  • かびんの森メンバー

    かびんの森メンバー

    感覚過敏研究所が運営する感覚過敏の当事者と家族が無料で参加できるコミュニティのメンバーを中心に、当事者やご家族のご意見を取り入れた空間や商品の企画・提案をすすめます。かびんの森参加者は現在1,000名です(2022年9月現在)

センサリーD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)な社会を目指したい

センサリールームやクワイエットアワーは感覚刺激に強い反応をする方々にとって安心できる空間や時間です。日本ではまだ浸透していない取り組みです。感覚過敏研究所SDI推進室としても、センサリールームの社会実装に力を注ぎたいと考えております。ご賛同くださる方、ともに社会実装に取り組んでくださる企業様・パートナー様を広く募集しております。
※は必須項目です。

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