みなさんこんにちは。感覚過敏研究所ウェブ制作ライターのミノリンです。
今、どこに出かけても「マスクの着用」の表示だらけ。致し方ないとはいえ、この季節にマスクができない私には肩身の狭い今年の夏。「マスク着用」の表示をみるたびに、悲しい気持ちになる人もいるという1例を今回は書いてみようと思います。
私には生まれつきの病気があり、体温調節機能がうまく働かず夏は必ず熱中症になります。どんなに気をつけても、夏に外を10分歩けばもう熱中症。夏は熱中症とお友達です。
子どもの頃から夏はよく赤い顔をしていたので、「りんご病~!」と、小学生男子にからかわれました。夏との付き合いもうん十年。私なりの対処法でしのいできましたが、今年はコロナで、今まで通りにはいかないことが増えました。
街にあふれる「マスク着用」
先日、雑用を済ませるために大型ショッピングモールに出かけました。目的のお店には
「マスク着用のないかたは入店をお断りさせていただいています」
の表示。入り口でも声をかけられます。
「マスクがない場合は、検温させていただきます」
私にはこれがまずい。
まず、店内がどんなに涼しくても暑い外からの熱がこもった私の体がクールダウンするのには時間がかかります。お抱え運転手付きの冷房のきいた車で毎日移動できれば問題ないのでしょうが、大変残念なことに執事などは雇っていないので、熱が体内にこもるのはどうしようもないのです。
37度くらいの体温は私の夏の平熱と言ってしまえるほど、しょっちゅうあります。38度もあるあるです(普段の平熱は36.2度くらい)。
そんな状態で忖度してマスクをつければ、さらなる体温上昇は間違いありません。さらに、外にいた時間が長ければ顔も赤い。普通なら見た目だけでもアウト感満載なのです。
さらに、このショッピングモールでは、「マスクのないかたは、2階インフォメーションカウンターでお配りしています」というアナウンスが流れるほどの親切ぶり。まるで私に向けて言ってる?と思うくらい、マスクをしていない人はほぼ皆無。あるお店では、入口を1つに限定して怖い顔をした(私にはそう見えた)店員さんが立ってマスクなしの人に声がけし、検温する管理体制を整えているのです。「ああ、このお店には入れないな」と、コロナではないのに入れないお店が今年は増えて悲しくなりました。
出かけるときにはマスクもフェイスシールドも持ち歩いていますが、フェイスシールドで歩き回っている人は店員さん以外には全く見かけないので、ちょっとハードルが高いなと思っています。
マスクも使うけれど
銀行など、どうしても必要があって入店する場合はマスクも使います。お店に入るたびにマスクができない理由をいちいち説明するのはあまりにも大変なので、入店さえできればあとはマスクを外してフェイスシールドに付け替えたりしてなんとか対応しています。熱中症の危険もありますが、触覚過敏もあるのでマスクを10分つけているだけで気分が悪くなってしまうためです。
最近ではAIサーマルカメラなるもので、入店者がマスクをつけているかを瞬時に判断し、さらに体温も感知できるすごいものを設置しているお店もあるらしく、マスクのできない私はまるで犯罪者のような気分にさせられてしまいます。
マスク、色々試してます
私は感覚過敏も多少あるので、マスクをしていると辛い理由がもう一つ。
マスクをしていると無数の小さな針でずっとチクチク刺されているような感覚があり、ゾワゾワするのです。長時間そんな状態が続くと、集中力は欠け、精神的にもきついのです。感覚過敏研究所での「こんなマスクもあるよ!」という情報を元に、自分でも着用できるマスクを探すべく何十種類も購入して着用可能そうなものを試し続けています。少しは着用しやすいものもありますが、やはり長時間は厳しいです。
優しい表示が増えて欲しい
「ご入店にはマスク着用が必須になります」
「マスクを着用されていない方は入店をお断りさせていただきます」
という、強い表示をしているお店もよく見かけます。そんなお店を見ると、悲しくなって入店したいという気持ちはスーッと消えていきます。
「マスクの着用にご協力ください」「マスクをお持ちでないお客様はハンカチなどお使いいただき、周りへのご配慮を」
という、柔らかい表現をしてくれているお店を見ると、大変ありがたいなと思います。
私はフェイスシールドに感覚過敏カードを貼り付けているのですが、煩わしい説明が減って大変助かっています。このマークを見て興味を持ってご理解くださる方もいて、意思表示する大切さを実感しています。
今年の夏は首からもカードを下げて外出しようと思っています。
あってよかった、感覚過敏カード!!
マスクなしにも、理由があるのです
先日、裏路地のような場所の曲がり角で自転車がちょっとの間止まっていて、後から来た車がその自転車にすかさずクラクションを鳴らしていたシーンに出会いました。その自転車は、狭い道でベビーカーを押しているお母さんが通り過ぎるのを待ってあげていたのです。ベビーカーが通り過ぎたらサッと自転車はさっていきました。ほんの10〜20秒くらいの出来事でした。もし車の運転手が「なんで止まっているんだろう?」と疑問を持ってくれていたら、すぐにクラクションを鳴らしたりはしなかったと思います。
マスクについても同じだなと思いました。
街中でマスクをしていない人を見ても「なんでしていないのだろう」と疑問に思い何か理由があると考える人は少ないと思います。自分にはない感覚を理解するのは簡単ではないので、仕方のないことだとも思います。
私も自分が子育てをして、ベビーカーで移動するのがこんなに大変だということを初めて知り、息子が車椅子を使ったときに初めてバリアフリーの大切さを実感しました。
だからこそ、マスクができない人もいると伝えていくことが大切だと思っています。
感覚過敏研究所では、過敏による様々な社会課題を1つづつ丁寧に解決していこうと日々話し合っています。
もし、この記事を読んで興味を持ってくださった方がいらしたら、サポーターも募集中ですのでぜひご協力お願い致します。