感覚過敏研究所のサポーター&ライターのうさ耳です。私は、見た目ではわからない高次脳機能障害と感覚過敏の当事者です。視覚過敏と聴覚過敏は酷いことは自覚していましたが、こだわりと思い込んでいたものが、触覚過敏や嗅覚過敏、味覚過敏であることにも気がつきました。
今回、その私が「感覚過敏マーク」をつけて周囲に聴覚過敏、視覚過敏、触覚過敏を知ってもらうようになった体験を書きたいと思います。
感覚過敏マークを知る以前の意思表示
以前は、上の画像のように、主治医に自分の症状のカードを作ってもらってヘルプカードと共に定期に入れて生きてきました。ですが、ある程度の知識がある人には伝わりますが、高次機能障害や感覚過敏を知らない人には、文字だけでは伝わりにくい面がありました。
感覚過敏マークを知ってから
感覚過敏研究所の「感覚過敏マーク」を知ってからは、バッジやシール、ダウンロード版のステッカーをカスタムすることで自分の困ることが周りに伝えやすくなりました。
ダウンロード版は、APDがあることも書き加えたりしています。「声をかけないほうが早く回復する」場合、その後の回復に影響があるので、事前に知ってもらうことが重要です。
「意思表示マーク」をつけていると、事前に「周囲」も「対応、配慮」をしてくれるようになりました。マークにより事前に自分の身を守ることができ、そして周囲も「何が困っているのか」わかりやすいのです。
光と音の過敏
生きていくうえで、光や音は避けられません。イヤーマフも認知度が高くなってきましたが、まだまだ職場や学校では難しい現状です。
私にとって「光」は発作につながるので、サングラスで光を防いでいました。今まで視覚過敏について知識がない方に色々言われ、苦しい思いをしてきました
感覚過敏研究所のダウンロード版「感覚過敏マーク」では、カスタマイズもできるので、「視覚過敏」の中でも自分が困ることを書き加えることができます。気を付けてほしいことも伝わりやすくなりました。
ある日、歯科で「聴覚過敏のバッジ」をつけて行くと、音を防ぐためのイヤーマフも理解してくださいました。視覚過敏についても、診察台で横になるときに「眩しい」と伝え、「視覚過敏マーク」を指さすと、タオルで目の部分をかぶせてくれました。「感覚過敏マーク」が感覚過敏について知識の少ない地域の歯科でも役立ちました。
触覚過敏
最近気が付いたのが触覚過敏です。冬に半袖を着ていると「寒くないの?」など言われてきました。温度差が苦手で暖房が特に苦手なので、冬は室内で半袖でいることも多いのです。
感覚過敏のお子様を持つ方と、お会いした際、その子も半袖でした。その子の場合は「着ることができる服があまりない」とのことでした。苦手な素材にストレスを感じてしまうのです。服を二枚着ても重いと言うのです。多くの触覚過敏の当事者が困っていることを知る機会になりました。私は、裏起毛の素材は蕁麻疹が出ます。小さいお子様の場合、特に周囲からの視線もストレスになります。そのような時も「感覚過敏マーク」が役に立ちます。
感覚過敏の意思表示
この「感覚過敏缶バッジ」の認知度が高くなると、マークをつけるほうも意思表示に抵抗も少なくなりますし、「感覚過敏」を理解してくれる人も徐々に増えてきていきます。
重度障害者施設では、まだ導入は難しいのが現実です。しかし、困ることを視覚化していれば、保育や介護の担当者が変わっても、困っていることや苦手なことがわかりやすいというのは事実です。既存のマタニティーマークなども「意思表示マーク」の一つですよね。「感覚過敏マーク」が広まり、認知度が広まるとよいと思います。
最後に
世界的に見たら「意思表示マーク」というのは、違和感があります。その例として、日本では視覚化できる妊婦さんもマタニティーマークという「意思表示マーク」をつけていないと、なかなか交通機関では席を譲ってもらえません。これをアメリカに住む友人は「なぜ妊婦さんがマークを付けているの?」と大笑いしていました。
その理由は、文化の大きな違いだったのです。友人の住むニューヨークでは、電車は常に満員状態で座ることも出来ません。日本の列車のように清潔な空間でもありません。しかし、「幼い子や老人」「弱者」「困っている人」には、ものすごく優しい文化が浸透しているのです。困っている人に席を譲るのが当然な文化から見たら、不要なマークだというのも納得です。
これは、日本ではなかなか難しいことだと思います。文化の違いからも「意思表示マーク」は日本では必要であると思います。感覚は視覚化できません。また、日本では「具合が悪いので席を譲ってください。」と言うのも難しいでしょう。意思表示として、「感覚過敏マーク」や「ヘルプカード」を持つことで、周囲も配慮してくれるケースが多いのが現実です。
文化を変えるというのは難しいことです。日本の文化の中で、感覚過敏マークの普及により、感覚過敏で困っている人が少しでも過ごしやすい世の中にしていきたいものです。
(ライター:うさ耳)