感覚過敏研究所のライターのうさ耳です。感覚過敏研究所の存在を知り、私自身も「聴覚過敏」等があるので、過敏のサイトがあることに感銘を受けすぐにコミュニティーに参加しました。学びながら自分の体験が誰かの役に立てれば・・・そんな思いでした。
今回は、「せんすマスク」との出会いからの【体験談】をお届けしたいと思います。当初は「せんすマスク」が手元にない状態でHPの紹介ばかりしていた時期があります。実際に手に取り使用しないとわからない「体験」の重要さを改めて気がつかせてくれたのです。
せんすマスクとの出会い
せんすマスクが販売され、まずは2種類の「せんすマスク」を購入しました。感覚過敏研究所のネットショップで注文できます。触覚過敏のハリネズミのキャラクターのせんすマスク(別名:ハリせん)と半透明のせんすマスクが届きました。その後、私は、友人にプレゼントしたり、お店に提供するなど「せんすマスク」を必要としている人に渡したり、伝える活動を自分のできる範囲で行っています。
触覚過敏のハリネズミの「せんすマスク」(別名:ハリせん)
- デザインも可愛く、惹かれました。
- 骨組みは本来の扇子のようです。
- 軽量でたたみやすく、扇子のプラスティック版という感覚でした(実際の素材は、半透明ポリプロピレン)
- 「シールド」以外での初めての対処案、と考えていたこともあり、「マスクの代用品」というのは感じにくかったです。
- 暑い頃でしたので扇子として使っていました。
- 取っ手カラーは半透明と記載ですが、白に近い感じです。
せんすマスク
- デザインは無地(透明もある)
- 骨組みは無く「飛沫防止」のための構造に特化。
- 素材は上記の【ハリせん】よりも丈夫です。
- 丈夫なため、すこし重みを感じます。
- 衛生面もハリせんよりすぐれています。
- 水にも強いので水洗いができることや、アルコール消毒も可能。
- 出先ならウエットティッシュなどでも汚れを拭き取れる面もよかったです。
- 画像以上にしっかりしていて驚きました。
専用ケース
- 専用のケースは、自然の素材で出来ていて、温かさを感じます。
- これも、実際に手に取った時の感動は言葉にできません。
せんすマスクを伝えたい
マスクが痛くて着用できないという「触覚過敏」の人のために飛沫対策として販売されたものが「せんすマスク」です。マスクが針のように刺さるような感覚は私にはわからないのが事実ですが、蒸れで皮膚が荒れることはありました。痛みの感じ方は十人十色です。
「聴覚過敏」で鼓膜がじんじんする感覚と似ているのかもしれません。五感の痛みは、周りにはみえません。努力してもマスクができない多くの人がいる中、マスク着用が当然のような世の中です。「みえない痛さ」をもっと知ってほしい、またヘルプカードや「感覚過敏マーク」も全国的に広がれば「みえない困りごと」が周囲に伝わりやすいと思い、実際にせんすマスクも持参しての広報啓発活動をはじめました。そこには「関東圏だけではもったいない」という思いもありました。関西方面から九州地方にかけての学校関係者や医療福祉関係者にも、手に取り体験していただいた時期もあります。
子どもへの意外な効果
くしゃみやせきの際の飛沫対策、といっても、子どもに説明するのはなかなか困難です。「汚いから、手を口にもっていこうね」「風邪がお友達にうつっちゃうから、マスクしようね」と言っても、子どもが習慣を身につけるには時間がかかり、苦労した経験のある保護者、保育者も多いでしょう。走り回り遊びたい子どもたちにマスク社会は苦しいけど、その苦しさを子どもは表現できない場合もあります。
ある日、【ハリせん】と「せんすマスク」を持って、感覚過敏で困る親子数組に「対策案」として紹介にいったときのことです。子どもたちが【ハリせん】で遊んでいたところ、くしゃみをした時には、自然に口元に【ハリせん】を持っていったのです。その姿に大人たちは驚いていました。普段は注意しても、咳やくしゃみの際、手を口元に持っていかない子が、自然にマスクとして使ってくれたのです。子どもたちは強要よりも「遊びから得る」ことが多いので【ハリせん】が効果を発揮したのでしょう。【ハリせん】のデザインや、軽さは小さなお子様にも「飛沫防止」を教えるきっかけとして使うことができました。
「せんすマスク」での対話
もともとあまり大きな声ではない私は、マスクの使用でさらに相手に伝わりにくくなりました。「せんすマスク」を使って話をしたことがあるのですが、相手の方は『初めてみた!』と興味津々でした。私は『感覚過敏の支援していて、マスクが困難な方向けのものだよ』と紹介したあと、相手の方は予備に持っていた「せんすマスク」を実際に手にとってくださりました。ホームページも見せたのですが、『現物は画像より、素材がしっかりしてるね』と賞賛していました。それは、私も同感です。画像だけでは実際の丈夫さ、重さはわからないのです。
せんすマスクの使い方はあなた次第
「せんすマスク」は無地なことも特徴です。使用する際に「マスクが苦手です」のステッカーをはることも、表裏がわかり「衛生的」工夫です。「せんすマスク」を購入すると希望者には「マスクが苦手です」と書かれたステッカーを無料でもらうことができます。
参照:https://kankakufactory.com/collections/mask
デザインの自由
ハロウィンが近いころに、赤やブラックバージョンが出ました。その時に、「せんすマスク」をハロウィン仕様にデザインしている姿をSNSでみて、私も「自分の好みにデザインしてみよう」という楽しみが増えました。「シールアート」というのは写真のように、丸シールで絵を書くものです。私は手先のリハビリにもなるので、挑戦していたころでした。感覚過敏研究所では「せんすマスク」アート展をやりたいと言っていましたので、いつか、かなうといいなと思っています。それは五感が過敏な人たちは優れた「才能」を持つ方が多いからです。ゴスペラーズさんも公式でデザインした「せんすマスク」を販売しています。
※ゴスペラーズさんのせんすマスクの販売は終了しています。
私の使い方
私はこの2つのせんすマスクを常時持ち歩いています。桜色と空色です。マスクが苦しくなった時に使っています。画像よりも開いたときの発色が綺麗です。疲れた時、きれいな色の扇子を見ているだけでも癒やされます。「飛沫防止対策」としてでなく「癒やしの道具」としても使っています。暑がりなので「扇子」としても、すこし日差しが眩しいとき「簡易な日よけ」としても使えるので、持ち歩いています。(飛沫の付着がある時はアルコール消毒してから使用されることをお勧めします)
まとめ
「せんすマスク」の使い方は、まだまだ新しい発想がでてくるでしょう。今後、「重度障害者施設」の食事の際など様々な使用法で「飛沫防止」としてはもちろん、日本文化の扇子の進化版として多くの方に知ってもらいたいと思います。
「感覚過敏」で苦しむ人は少なくありませんが、認知度は低く地域差もあります。近年は、認知度もあがってきていますが「工夫」をしながら生きていくしかない現状を、より多くの医療関係者にも知ってほしいですし、困っている人たちに知ってもらいたい。私は実際に「せんすマスク」を持参し、たくさんの人に手にとって広げてもらい、実物を体験してもらう活動をしてきました。これは、誰かに頼まれたのではなく、私の自発的な行動です。私の体験や行動から多くの人がSOSを出せる社会になってほしい。そして、感覚過敏のように目に見えない困りごとを受け入れられる社会になってほしい。「せんすマスク」の使い方はあなた次第です。