この記事の内容
こんにちは。ライターのmomoです。
前回の記事では、自己紹介として、私が感覚過敏になった経緯や、どのような過敏を持っているか、生活の中でどんな工夫を行なっているか等について書かせて頂きました。
https://kabin.life/archives/4820
今回は、普段行っている工夫の中で、特に「触覚過敏と洋服」にフォーカスを当て、より詳しく紹介したいと思います。
前提として
一口に触覚過敏と言っても、感覚は人それぞれです。残念ながら、私にとって心地よい事が、他の触覚過敏の方にとっても同じように心地よいとは限りません。
私と近い感覚の方に、直接的な参考になればもちろん嬉しいですし、
私と感覚が異なる方や、家族が触覚過敏でどのようなフォローをしてあげたら良いか分からないと感じている方などにも、考え方やアプローチの仕方の面で、ヒントになれば幸いです。
生地
触覚過敏になった当初は、何を参考にしたら良いか分からず、皮膚炎やアトピーの方向けの情報を参考にしていました。天然由来の素材が肌に良いということで、化繊の入っていない、綿やシルク100%の服を探しました。しかしそういったものは意外と生地が硬かったりザラザラしているものも多く、せっかく買ったのに着られなかった服も沢山ありました。
様々なものを試した結果、自分は肌そのものが弱い訳ではなく、あくまで触覚が過敏なだけなので、必ずしも天然素材100%である必要は無く、とにかく自分が触ってみて痛く無ければ、それで良いのだという結論に至りました。
自分が痛くないと感じる服の共通点を探してみたところ、私はレーヨンや綿が多く入っていて、柔らかく、適度に水分を感じるしっとりとした生地が、一番痛みを感じにくいと分かりました。また、化繊100%のような完全にツルツルしている生地より、「チクチクはしないけれど、ほんの僅かに糸の織を感じる」くらいの生地が一番心地よいと分かりました。
手触りは実際に触ってみないと分からないので、なるべく実店舗で買うようにしています。ネットで買う場合は、素材を確認したり、購入者のコメントを参考にしたり、返品が可能なお店から買うようにしています。
とは言っても、着られる服に出会えることは本当に稀なので、自分が着られるものを見つけたら、沢山ストックを買うようにしています。いつでも買えると思っていた商品が、いきなり生産中止になった時ほど、ショックな事はありません…。
縫い目
多くの方が感じていると思いますが、縫い目はやはり苦手です。特に首元は縫い目を隠す処理がされているものか、なるべく縫い目が柔らかいものを探します。それでもスパッツはどうしても縫い目が無理で、裏返しにして履いています。
また下着に関しては、縫い目やレースが肌に当たると痛いので、シームレスなシリーズを購入しています。最近は沢山のメーカーから商品が出ているので、色々試してみて、好みの質感のものを見つけてみると良いと思います。
感覚過敏研究所のアパレルブランド
「KANKAKU FACTORY」の縫い目は、完全に縫い目が外側になっていて、かなり負担が少ないと思います。
市販品でこのような仕様になっているものは、ほとんど無いのではないかと思います。
タグ
触覚過敏の天敵、洋服のタグ。
外す際は糸切りリッパー・先の細い裁縫バサミ・ピンセットがあると便利です。
タグの中でも一番やっかいな、縫い目の中にタグが織り込まれているタイプは、この方が紹介しているように、ハサミで切って、一歩ずつ繊維を抜き取っていくと、完全に取る事が出来ます。
靴下
柔らかく、ゴムの締め付けが無いものを選んでいます。私は歩くと足首の前の部分や、足の裏が摩擦で痛くなります。そのため、靴下を履く前に足全体に厚めにクリームを塗るようにしています。クリームを持ち歩き、外出先でも痛いと感じたら定期的に塗り直しています。靴下を嫌がるお子さんは、靴下の何が嫌なのか、素材なのかゴムの部分なのか、どこかが擦れて痛いのか等を聞いてあげて、それをクリアできる方法を探してあげると良いかもしれません。
着れる素材のはずなのに痛くなるとき
着れる服を見つけても、肌が痛いと感じる時はあります。
痛みを軽減するために、私は以下の対策を行っています。
①保湿
私は肌を保湿すると、服の摩擦による痛みが軽減されます。肌と服の間に、水分や油分の膜を一枚作るイメージです。朝起きた時・外出する前・服を着替えた時・お風呂から上がった後・寝る前などに必ず保湿をしています。外出先でも、保湿力やテクスチャの違うものを数種類持ち歩き、自分が痛いと感じたときに痛いと感じた場所に塗れるようにしています。
感覚過敏コミュ二ティー「かびんの森」でコメントを読んでいると、逆に肌に何かが塗られている感覚が苦手と感じる方もいらっしゃるようです。あくまで例ですが、スプレータイプの化粧水だと肌が覆われている感覚はかなり低いので、そういったものを試してみるのも良いかもしれません。
②湿度
必然的に、湿度が低い空間では、塗ったクリームもすぐ乾燥してしまうため痛みを感じやすいです。家の中にいる時は、部屋の湿度はなるべく50%以上をキープするように、加湿器をたいています。
③汗によるムレ
矛盾するようですが、汗をかいたり、ムレを感じると、それも不快(痛み)に感じます。夏に汗やムレを抑えるのは難しいですが、私の場合は着替えを持ち歩いたり、上に重ねる服を出来るだけ薄手で通気性の良いものにしたりしています。
④摩擦
私は服の摩擦が本当に苦手で、ちょっとした摩擦でも、強い痛みを感じてしまいます。難しいことではありますが、普段からなるべく服が擦れるような大きな動きはしないようにしています。私は二の腕の摩擦が一番苦手なので、腕を上げる時は、先に腕の部分の布を上にたぐませて、服が引っ張られて擦れないようにしたりと、細かい工夫をしています。
また満員電車も怖いので、ラッシュの時間は避けて行動したりもしています。
家の中で家事や運動など大きな動きをする時は、諦めて服を脱いで、半袖やキャミソールになって体を動かすようにしています。(冬は寒いですが)
⑤毛玉
私が好きな素材は、柔らかい故にすぐ毛玉が出来てしまいます。保湿もしているし動いてもいないのになんだか痛いなと感じる時は、毛玉が当たって痛くなっていることが多いです。
レーヨン100%より、綿などが少し混ざっている方が毛玉になりにくいです。
それでも毛玉は出来てしまうので、定期的に毛玉取り機をかけます。
(失敗して穴を空けてしまうことも多々あります笑)
⑥ストレス
強いストレスを感じているときは、体中の痛みの感受性が高くなってしまいます。そういう時は「何もしなくても痛い」状態になってしまいます。そのときは、①〜⑤などの刺激を出来る限り取り除いてあげて、あとはもう自分が好きな事をして気を紛らわせるか、一回眠って感覚をリセットします。
触覚過敏でもおしゃれがしたい
感覚過敏を発症した時、それまで着ていた服は全て着られなくなってしまい、大量の服を処分しました。
流行りの可愛い服は全く着ることが出来ず、周りの女の子と比べて自分の見た目が劣っていると感じ、自分に自信が無くなってしまいました。
でもある時から、そんな状態が心の底から嫌になり、今の自分に着られる服で、なんとか少しでも可愛くなれるものを見つけたいと思いました。
今の私の基本装備は、こんな感じです。
①肌に直接触れる1番下には、自分が着られる生地のTシャツ(長袖)とスパッツ(10分丈を裏返し)を着る。
②その上から、服を重ね着する。
上半身:肌に直接触れないよう、下に着ているTシャツよりも襟ぐりが大きく、袖が短いものを選ぶ。ぴったりしたデザインは体を動かすと摩擦で痛いので、全体的にゆったりとしたデザインのものを選ぶ。特に腕を上げた時に摩擦が起こりにくいよう、肩周りや二の腕の周りにゆとりがあるものを選ぶ。全体的に締め付ける部分がないデザインが好ましいが、胸元やウエストに絞りがあるデザインの場合は、中で少し下のTシャツをたぐませておくと、体を動かした時にTシャツが引っ張られなくて済むので、痛くなりにくい。
下半身:ロング丈のスカートやズボン(柔らかい素材でゆったりとしたシルエットのもの)を履く。
③靴下+スニーカー
アクセサリーがつけられない!
触覚過敏でもう一つ困ること。それはアクセサリーが全くつけられないことです。
そこで私がしている工夫はこんな感じです。
①服にネックレスを付けられるように改造
服の襟の部分に丸カンを縫い付ける。
市販のネックレスのチェーンを短く切り(細いものなら普通のハサミでも切れます)、丸カンとカニカンを付ける。
②ヘアアクセサリーをつける
ヘアアクセサリーは付けられるものが多いので、可愛いものを沢山集めています。
ちなみに髪の毛は、首がチクチクしないように、首の内側はすかなないようにカットしてもらっています。
おわりに
触覚過敏と洋服選びは、永遠の難しいテーマだと思います。上手く付き合っていくために、長い時間をかけて、少しずつ自分に合う方法を見つけてきましたが、私もまだまだ模索の最中です。
触覚過敏は患者数も少なく、参考に出来る書籍や体験談も見つけにくいため、どのような工夫をしたら良いのか、暗闇の中を独り手探りで進んでいくような感覚になると思います。(少なくとも私はそう感じています。)
私と同じように触覚過敏の症状を持つ方が、毎日を心地よく過ごすために、少しでもヒントになる部分があれば嬉しいです。