感覚過敏があると学校生活の様々なことに困ることがあり、それが原因で不登校になることもあります。感覚過敏があっても、快適な学校生活をおくるために、学校に相談し「合理的配慮」を受けるという選択肢もあります。
今回は、聴覚過敏がある当事者やその保護者に向けて、学校での聴覚過敏の合理的配慮について紹介します。
合理的配慮について
合理的配慮については、こちらのコラムで紹介しています。
聴覚過敏のある子どもが学校で苦手なこと
一言に聴覚過敏といっても、人それぞれ苦手な音は異なりますが、大きな音や高い音が苦手な方が多い印象です。例えば、クラスメイトが盛り上がっているときの声、集会や放送などマイクを使った声、音楽の授業やイベントなどで困ることも多いです。
また特に小さな子どもの場合、つらさを言語化し、まわりの大人にSOSを出すことが難しいです。
そのため聴覚過敏を抱える子どもたちにとって、学校生活は想像以上に負担が掛かります。少しでも快適な学校生活をおくるための合理的配慮が必要です。
当事者・保護者の声
感覚過敏コミュニティ「かびんの森」では、聴覚過敏のある子どもの学校関連での困りごとについて、以下のような声や悩みが投稿されています。
学校での聴覚過敏の合理的配慮について
学校での聴覚過敏の合理的配慮の例としては、以下4つが挙げられます。
- 聴覚保護具の使用
- 困りごとの可視化と周囲への表現
- 周囲の音を拾いすぎて、相手の話を聞き取ることができない場合は、視覚で指示が伝わるように
- 避難できる場所を用意してもらう
聴覚保護具の使用
イヤーマフや耳栓、デジタル耳栓、ノイズキャンセリングイヤホンなどの聴覚保護具を使用することで、周囲の音を下げることができます。
どれだけ音を下げられるのかは製品によって異なりますので、苦手な音が防げるかどうかをご確認ください。また普段から着用する場合、長時間着けていられそうな製品を探すことが大切です。
デジタル耳栓やノイズキャンセリングイヤホンなどの充電が必要な聴覚保護具の場合、充電が切れていて使えないこともあります。どれくらい充電が持つのか、充電がなくなったらどうするのかなどを事前に決めておくことをおすすめします。
それぞれの聴覚保護具について特徴をまとめてみました。重視したいポイントをもとに、お子様に合った聴覚保護具を探してみてください。
なお校則で聴覚保護具の使用が禁止されている場合には、学校側に事前に相談が必要です。
困りごとの可視化と周囲への表現
例えば聴覚過敏の対策として聴覚保護具を使用している場合、クラスメイトから「どうして使っているの?」などと不思議がられることもあります。
聴覚過敏の対策をしていることを先生から説明してもらえる場を設けてもらったり、聴覚保護具にシールなどを貼ることで、聴覚過敏があることを知ってもらいやすくなります。
周囲の音を拾いすぎて、相手の話を聞き取ることができない場合は、視覚で指示が伝わるように
聴覚過敏があると、周囲の音を拾いすぎて、相手の話を聞き取ることができない場合もあります。そういったときには、筆談や相手が話したことを文字に起こすスマホアプリなどを活用して、視覚的に指示が伝わるようにしてもらうのがおすすめです。
避難できる場所を用意してもらう
どうしても周囲の音がつらいときに、避難できる場所を用意があると安心です。
どこかに避難できる場所をつくってもらえないか、廊下や空き教室などに避難してもいいかなど相談してみてください。
避難できる場所をつくる場合、市販のテントやカームダウンボックスを利用したり、ダンボールなどで自作するのがオススメです。それぞれの特徴をまとめてみました。
感覚過敏研究所でご提案できること
感覚過敏相談シート
感覚過敏研究所では、保護者の方がお子様の感覚過敏について学校に相談する時に使用できる「感覚過敏相談シート」を作成し、無料公開しています。
以下のサイトより、無料でダウンロード可能です。
聴覚過敏のマーク
感覚過敏研究所では、聴覚過敏について表すマークを作成し、缶バッジやシールなどの商品をオンラインストアで販売しています。
バッグに缶バッジをつけたり、イヤーマフにシールを貼ることで、聴覚過敏があることを知ってもらいやすくなります。またダウンロード版も販売しており、個人使用であれば、紙に印刷して利用したり、グッズの作成も可能です。
カームダウンボックス
感覚過敏研究所オンラインストアにて、カームダウンボックスを取り扱っています。