センサリールームは、音や光、ニオイなどの五感の刺激を少なくし、聴覚・視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごせる空間・部屋のことです。今回は「ドバイ万博」のセンサリールームを紹介します。
ドバイ万博とは?
ドバイ万博とは、アラブ首長国連邦にあるドバイで行われた万博のことです。2021年10月1日から2022年3月31日まで開催されました。中東・アフリカでの万博開催はドバイが初です。ドバイ万博のテーマは「心を繋いで、未来を創る」。このテーマをベースに各国がさまざまな展示を行いました。192カ国以上が参加したとのことです。
https://www.expo2020dubai.com/
ドバイ万博に4箇所設けられたセンサリールーム
ドバイ万博では、ビジターセンター1、3、4、6のインフォメーションセンター内に、クワイエットルームが設置されました。(下の地図のオレンジでマークした箇所です)
ドバイ自閉症センターにあるセンサリールームがモデルで、アイルランドの「センサリーポッド」社によって設置され、センサリーアクセスが安全性の監査を行ったようです。
センサリーアクセシビリィーを重視したドバイ万博
国際感覚アクセシビリティ委員会(International Board of Sensory Accessibility, IBSA)により、ドバイ万博は「センサリー・アクセシブル・イベント」として認定されました。センサリー・アクセシブル・イベントとは、感覚に関する問題を抱えており利用しづらい方でも利用しやすいイベントのことです。
他にも、車椅子利用者がすれ違ったり方向転換のできる通路の幅が確保されていたり、前の観客が立ち上がっても車椅子利用者の視線が遮られることのないように設計されているなどと、様々な方が試合を観戦できるようになっています。
所長・加藤路瑛のレビュー
万博のように世界的なイベントでセンサリールームが導入されると、世界は本当にセンサリーアクセシビリティを重視していくのだなと改めて感じます。
ドバイ万博では4カ所のインフォメーションセンターにセンサリールームを設置されていましたが、まだその存在が認知されているという感じではないようです。世界中どこに行ってもセンサリールームはあるものだという共通認識が生まれるほどにならないと、必要な人に存在が伝わりません。
海外にもセンサリールームの取り組みを積極的に行なっている企業や団体がありますので、連携しながら世界全体として五感にやさしい社会になればいいなと思います。
2025年は大阪万博です。感覚過敏研究所として、大阪万博さんには必要性をお伝えさせていただきました。日本開催の万博として、実現してほしいと期待をしています。
クワイエットアワーを広めたい!
センサリールームやクワイエットアワー、センサリーマップは感覚刺激に強い反応をする方々にとって安心できる空間・時間・ツールです。日本ではまだ浸透していない取り組みです。感覚過敏研究所SDI推進室としても、センサリールームの社会実装に力を注ぎたいと考えております。ご賛同くださる方、ともに社会実装に取り組んでくださる企業様・パートナー様を広く募集しております。
注)当記事は日本社会に向けて、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品の重要性をお伝えするものです。感覚過敏研究所SDI推進室が取り組んだ実績ではございませんので、ご了承ください。
参考/引用
SENSORY ACCESS「Expo 2020 Dubai」
TENTONTO web「ドバイ万博の「クワイエットルーム」、感覚過敏な人の休憩室」
The Sensory Pod「Project Complete Expo 2020」
TENTONTO web「ドバイ万博、センサリー・アクセシブル・イベントに認定される」
文:いうと