2025年4月、神奈川県川崎市に6年ぶり新しい市立小学校「新小倉小学校」が誕生しました。新小倉小学校にカームダウンスペースが作られているというニュースを拝見し、見学させていただきました。(訪問日:2025年5月27日)

校舎内に設置されたカームダウンスペースとは

低学年のフロアでは、教室と教室の間に上記のような丸い穴のあいた空間がありました。これがカームダウンスペースなのでしょうか?

子どもたちはこの小さな穴から出入りします!秘密基地感が最高!

中はこのような感じ。複数人で利用できる広さです。まさに秘密基地。丸い出入り口からは人の足が見えるだけ。このように人の顔や視線が届かない場所って落ち着けます。このような小さな出入り口のある小部屋は、低学年の教室には、2クラスの間に1つずつ用意されているそうです。

校内を移動するとアーチ型の入り口の小部屋がありました!こちらもカームダウンスペースのようです!中学年・高学年の教室付近に用意されています。

中はこのような感じです。複数人が座って過ごせるようになっています。
所長・加藤路瑛レビュー
学校の先生のお話では、これらの小部屋を学校でカームダウンルームと呼んでいるものではないそうです。誰もが利用できる落ち着き部屋であり、ちょっと引きこもれたり隠れられたりする小部屋という用途で用意されたものがニュースではカームダウンスペースと紹介されたとのことでした。
どんな児童だって、ちょっと静かになりたいときや、こもりたい時ってあると思うのですよね。カームダウンスペースという名前になると、感覚特性や障害・疾患のある人だけが利用するスペースとなってしまいがちですが、誰もが使える落ち着けるスペースがあるというのは、インクルーシブな教育環境には最適ではないでしょうか。
その考え方は、感覚過敏研究所が目指す理想像でもあります。この社会、特に集団の社会生活の中では、音などの騒がしさを中心に刺激が多く、意識せずとも私たちはストレスを感じ疲れやすくなっています。誰だって、静かに過ごしたい時があるはずですが、学校などの集団社会では逃げ場がありません。そんな時に、落ち着ける場所があるのは最高です。
また、子どもだって1人になりたい時があるはずですが、学校生活の中で一人でいると、「ぼっち」として扱われやすく、子どもたちも時には無理をしてクラスメイトとつるむこともあるでしょう。1人でいることや、静かに過ごすことも選択肢や権利として認められている環境で過ごせる新小倉小学校の子どもたちは、どのような多様な価値観になるのかとても楽しみでもあります。

また、校舎内にはカームダウンスペースではありませんが、静かに過ごせる場所が随所に用意されていました。いろいろな場所に落ち着ける場所があるのは素晴らしいです。また、体育館は有孔ボードを壁に使用して音の反響が少ないのも、環境としては素晴らしく、建築設計された方の配慮や思いが感じられる場所がたくさんありました。
この少子化時代に新設の学校ができる事例は少ないかもしれませんが、校舎を建て替える学校はこれからもあるでしょう。是非、子どもたちに過ごしやすい校舎を設計いただきたいですし、感覚の視点から私が手伝えることがあれば、お声がけいただけたら嬉しいです。
川崎市立新小倉小学校
https://kawasaki-edu.jp/2/114shinogura/
