![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskstickers.jpg)
前編では、感覚過敏研究所としてマスク着用ができない方々への2年間にわたる取り組みについて書きました。しかし、正直に申しますと、「取り組んできた風」であり、力を注いでで取り組めていないことに気づかれます。まずは前編をご覧ください。
メディアは一時のブームで終わる
以下は、私が「感覚過敏でマスクがつけられない人のための意思表示カード」をリリースしてから、マスク問題で取り上げていただいたメディア一覧です。(漏れはあるかもしれません)
・日本テレビ「NEWS24」2021年8月
・婦人画報の運営するメディア「Women’s Health 」2021年3月
・CBC「CBCニュース」2021年2月
・KNTテレビ長崎 2021年2月
・日本教育新聞 2021年2月
・時事通信社 2021年2月
・読売新聞夕刊 2021年1月
・週刊AERA 2021年1月
・書籍「感染症時代のマスクの教科書」でマスクがつけられない場合の事例として掲載(小学館)2020年12月
・書籍:池上彰監修「日本の明るいニュース」2020年11月
・TBS「Nスタ」2020年8月
・読売テレビ「かんさい情報ネット」2020年8月
・日本経済新聞電子版 2020年8月
・日経産業新聞 2020年8月
・テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」2020年8月
・日本テレビ「news every.」2020年8月
・TBS「はやドキ!」2020年8月
・テレビ朝日「スーパーJチャンネル」2020年8月
・毎日新聞 2020年8月
・NHK「おはよう日本」2020年7月
・ABAMAニュース 2020年7月
・日本テレビ「news every.」「ズームイン!!サタデー」2020年6月
・ TBSの「グッドラック」2020年6月
・NHK「あさイチ」2020年6月
・愛媛新聞社 2020年6月
・西日本新聞 2020年6月
・NHK香川『ゆう6かがわ』2020年6月
・フジテレビ『めざましテレビ』2020年6月
・京都新聞 2020年6月
・HUFFPOST 2020年5月
2020年5月のハフポストから始まり、2020年6月から2021年2月まではメディアに取り上げていただいたり取材がありました。上記リストを見ると、マスクの件で最後にメディアに取り上げていただいたのは2021年8月です。それ以降、私は出ていません。私が飽きられた可能性もありますが、ウィズコロナの社会の中で、もうマスクがつけられない人のことは忘れ去られているのかもしれません。マスクができない人、マスクをしない人が一定数いて「仕方がないよね」と社会が受け入れた部分もあるかもしれません。
しかし現実はあまり変わっておらず、相変わらず、マスクの着用がないと入れない場所や参加できないイベントはあるし、周囲の白い目はあるし、マスクができないために仕事ができない人、就職できない人もいるのです。
もし、日本社会がまだマスク社会を継続するならば、この2年間、置き去りにしてしまった人のことを考えていただけたらと思います。
日本政府としてはどう考えているのか?
厚生労働省は、感覚過敏などでマスクがつけられない人に関して以下のように発表しています。
![厚生労働省マスク着用できない日への理解](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskjapan.jpg)
発達障害のある方については、触覚・嗅覚等の感覚過敏(*1)といった障害特性により、マスク等の着用が困難な状態にある場合があります。
WHOの「COVID-19に関連した地域社会の子どものためのマスク使用に関するアドバイス」(*2)においては、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」「フェイスシールドなどのマスク着用に代わる選択肢を与えるべき」としています。
また、WHO「Q&A:COVID-19に関連する子どもとマスク」(*3) の中の「発達上の障害のある子どもはマスクを着用すべきか?」という項目では、「発達上の障害、その他の障害、またはその他の特定の健康状態のあるあらゆる年齢の子どもにマスクを使用することは必須ではなく、子どもの親、保護者、教育者、医療提供者、またはそのいずれかによってケースバイケースで評価されるべきである。 いずれの場合でも、マスクを容認することが困難な重度の認知障害または呼吸障害のある子どもは、マスクを着用する必要はない。」とされています。
発達上の障害に係るマスク着用の困難性には感覚過敏の特性によるものが含まれ、子どものみならず、成人に至っても継続する場合も想定されます。
また、フェイスシールドなどのマスク着用に代わる方法についても、重度の知的障害など障害特性によっては困難な場合があります。こうした障害特性により、マスク等の着用が困難な方に対する国民の皆様のご理解をお願いいたします。
正確な時期は記憶にありませんが、2020年10月頃に厚生労働省が「理解」について呼びかけています。このリリースを見た時、「ようやく国が動いた」という安堵と、「遅い!こっちは4月からやってるよ」という苛立ちの気持ちが混じりました。厚生労働省が動くなら、これで良い方向に進むと思ったのです。
自治体の取り組み
厚生労働省がマスク着用が難しい人への理解を呼びかけても、社会は何も変わったようには感じられませんでした。唯一変わったのは、各自治体が、マスクができない人のための意思表示カードを作り始めたのです!!!!
いくつかの自治体の事例を紹介します。
和歌山県
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskwakayama.jpg)
宮城県栗原市
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskkurihara.jpg)
神奈川県横須賀市
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/masukyokosuka.jpg)
埼玉県新座市
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskniiza.jpg)
福井県
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskfukui.jpeg)
他にも作成された自治体はあります。
マスクがつけられない人のことを考えてくださる取り組みはとてもありがたいです。厚生労働省の通達が出て、サイトに注意喚起をコピペのように掲載しただけの自治体もあります。そのような中、アクションしてくださることは本当にありがたいことだと思います。
でも、自治体がマークを作る必要はあったのでしょうか?感覚過敏研究所は無料ダウンロード版も用意しています。ご連絡いただければ自治体バージョン一緒に作れます。
・マスクがつけられませんシール
・マスクがつけられません缶バッジ
・マスクがつけられませんマークのダウンロード版
![マスクがつけられませんマーク](https://kabin.life/wp-content/uploads/2021/03/withoutmask21-1024x512.jpg)
感覚過敏研究所でなくてもいいのです。「わけがありますく」さんも無料ダウンロードできる取り組みをされています。
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/wakagearimasuku.jpg)
デザインがしっかりしています。当時13歳の私が1時間で作ったカードとはクオリティーが違います!わけがありますくさんは自治体のサイトで紹介されていることも多く、「私ももう少しデザインを頑張っておけば・・・」などと思うこともありますが、しっかり取り組みが広がっている感じがします。
自治体の取り組みについて話を戻すと、各自治体は「カードを作ったことで終わり」、「ホームページで理解を求める内容を掲載したから任務完了」ではなく、次のアクションをぜひ検討いただきたいです。カードを作るだけでは、マスクがつけられなくて困っている人の生活は変えられないです。決して、自治体さんオリジナルカード自体の良し悪しを言っているのではなく、もう少しみんなで考えていきたいです。
世界の対応を見る。イギリスの対応は参考になります。
世界に目を向けてみます。マスクがつけられなくて困っているのは日本だけではないはずです。イギリスの取り組みが一番参考になると思うので、紹介します。
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskukgov.jpg)
イギリス政府は、マスクに関しての専用ページを作り、そこに除外条件も明記しています。
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskukex.png)
簡単にまとめると
フェイスカバーの着用ができない場合(イギリス政府のページより和訳)
英国では、マスクは法律で義務付けられていませんが、医療現場における感染予防管理の下では義務付けられています。しかし、マスクを着用することができない人もいます。そのような人への配慮や尊重をお願いします。
マスク着用除外のケース
- 11歳以下の子ども
- 身体的または精神的な病気や障害の理由でマスクの装着、着用、取り外しができない人
- マスクの着用・装着・取り外しによって深刻な苦痛をもたらす方
- 読唇術、音声や表情に頼ってコミュニケーションを取る人
- 怪我や事故から回避する場合
- 警察官およびその他の緊急事態に従事する人々の職務遂行を阻害する可能性がある場合
マスクがつけられない人のためのカード(イギリス政府認定)
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maslukcardguid.png)
マスク免除カード(日本語訳)
年齢、健康、障害などの理由でマスクを着用しない場合、その理由を証明する書面を提示する必要はありません。免除カードを提示する必要もありません。つまり、マスクを着用しない理由について、医療専門家にアドバイスを求めたり、書状を要求したりする必要はありません。
しかし、人によっては、マスクの着用ができないことを掲示する方が安心できるかもしれません。免除カードやバッジ、あるいは自作の標識などです。免責カードやバッジを携帯することは個人の自由であり、法律で義務付けられているわけではありません。
免責カードやバッジを使用したい場合は、免責カードのテンプレートをダウンロードすることができます。これを自分で印刷したり、携帯端末で見せたりすることができます。イギリス政府は、物理的な免除カードやバッジを提供することはできませんので、ご注意ください。
もっとわかりやすく言うと・・・・
イギリスでは、マスクがつけられない場合、医師に診断書をもらう必要もないし、マスクできないカードを掲示する必要もないよ。でも、つけてると安心する人もいるよね。自作OKだよ。でも、政府としても作ったよ。自分でダウンロードして自由に使ってね!
とういことですね!政府で免除カード作ってるのですよ!!!!!!(ダウンロードページ)
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2022/04/maskukcard.png)
何パターンかありますが、印刷してカットして使うものと、スマホにダウンロードして画面で見せるものがあります。
(僕が作ったカードの方がいけてません笑???)
![](https://kabin.life/wp-content/uploads/2021/03/card21-1024x512.jpg)
大切なのは、国として認めているカードがあるってことです。有志だったり、自治体が個々に作るよりも、日本政府が出しました!って言うのがあってもいいのではないかと思います。
マスク社会が終わるかもしれないし、今さら作ってもらうのも・・・・と思って政府への働きかけなどはいっさいしなかったのですが、(その方法もわかりませんが)、イギリス政府くらいのことまではできたのではないかなと思うのです。
今からでも遅くないかもしれません。
本来は、こんなカードが必要ってことが不自然で、「マスクつけれない人がいるなら、つけれる人で対策しながら、つけれない人は気をつけて生活しようね」でいいはずなんですよね・・・。
そういうと「病気でつけれない人はいいんだよ。でも、アンチマスクの人と区別できないでしょ?」とか言われる・・・他人にどこまでの行動を許可いただく必要があるのでしょう。
これからも感覚過敏研究所では、マスクがつけられなくて日常生活ができずに困っている人のためにできることを考えます。