癇癪(かんしゃく)とは違う?感覚過敏によるセンサリーメルトダウン

センサリーメルトダウン

子どもが激しく泣き叫んだり、暴れまわったりするパニック状態のようになる場面に遭遇したことがありますでしょうか。

一般的には癇癪やわがままとして捉えられがちですが、実はそうではない場合もあります。感覚過敏の子どもは、過剰な感覚情報によって圧倒されてしまい、耐えられる情報量を超えて「コップの水が溢れるように」自分をコントロールすることができなくなってしまい、そのような行動をする時があります。それは癇癪とは異なる状況で、英語ではsensory meltdown(センサリーメルトダウン)として知られています。

今回はこのセンサリーメルトダウンについて、癇癪との違いと対処法についてお知らせします。

癇癪とセンサリーメルトダウンの違い

癇癪とセンサリーメルトダウンは、周囲の目に映る行動としては似ています。しかし、以下のような違いがあります。

癇癪・(多くの場合)目的がある
・目的が達成されればおさまる
・注意を引こうとしてやっているので周りに誰もいなければやらない
・いらいらやこだわりが元になっている
・本人がある程度制御可能である
センサリーメルトダウン・目的がない
・誰かが見ていても見ていなくてもが起こってしまう
・圧倒された気持ち、いっぱいいっぱいになった気持ちが元になっている
・本人が制御不可能である

例えば、スーパーマーケットで子どもが泣き叫んでいるとします。癇癪の場合は、例えば、親にお菓子を買ってもらいたいという目的があり、親の反応をうかがっています。お菓子を買ってもらえれば泣き止みます。センサリーメルトダウンの場合は、例えばお店のBGMや匂いなどの感覚情報に圧倒され、その反応として泣き叫んでいます。わがままを聞いてほしいという意思はなく、環境が引き金になり勝手になってしまったという状態です。

癇癪とセンサリーメルトダウンの見分け方

上記の違いがわかったとして、実際にどのように見分けることができるでしょうか。以下が、周囲から見える特徴です。

癇癪・周囲の状況に注意を向けている
・問題解決や交渉をしようとする
・欲しい物が手に入ったり諦めたりこだわりが解消されると比較的早く落ち着く
・自傷行為をすることはめったにない
センサリーメルトダウン・周囲の人の声かけやリアクションに対する反応がない
・ 問題解決や交渉する能力がなくなる
・センサリーメルトダウン状態が終わっても落ち着くまでに時間がかかる
・自傷行為をすることがある
(※自傷行為とは、例えば自分の体を自分で叩いたり噛んだり、頭を壁に打ち付けたりする行為)

対処法

癇癪とセンサリーメルトダウンでは対処法も異なります。癇癪の場合、対処法としては欲求を満たしてあげる(例:お菓子を買ってあげる)、もしくはルールや約束事でその場は我慢させる(例:お菓子は買わないけどいい子にしてたら家でゲームさせてあげる)という方法などがあります。

しかし、センサリーメルトダウンでは、欲しいものがあるわけでもなく、また、言葉で納得させられる状態ではありません。センサリーメルトダウンが起こったら、まず、安全で感覚刺激の少ない環境に移ることが大切です。自傷行為がある場合は危険物を遠ざけることも必要です。どの感覚刺激に対して反応が起こっているのかを知り、適切な状況に置いてあげることが重要です。深呼吸などで神経の興奮を鎮めることも良いとされています。

どのような感覚刺激に対して反応が起こるかわかれば、その刺激が多い場所を避ける、刺激を和らげるグッズを使用する(例:聴覚過敏であればイヤーマフやヘッドホン)ことができます。また、本人が冷静な時に、センサリーメルトダウンが起こった時の対処法を話し合ったり、深呼吸などのカームダウン方法を練習することも大切です。

まとめ

子どもが泣き叫ぶようなパニック状態について、感覚過敏によって引き起こされるセンサリーメルトダウンというものがあるということをご紹介しました。

センサリーメルトダウンは感覚情報が過剰になった時の反応の一つです。センサリーメルトダウンのほかにも、燃え尽きたような疲労や、シャットダウンという反応を示す場合もあります。なのでセンサリーメルトダウンが起こらないから感覚過敏ではない、ということではありません。また、最初は癇癪だったものがセンサリーメルトダウンに発展する場合もあります。感覚過敏の子どもにとっては癇癪もセンサリーメルトダウンもどちらも起こりうるということを理解することが重要です。

センサリーメルトダウンが、感覚過敏の症状の一つとして認知度が高まり、当事者を暖かく受けいれる社会になるよう願います。感覚過敏研究所では、今後、感覚過敏の方々が安心して生活できるように、センサリーD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)をすすめていきます。

※参考サイト(英語)

https://www.arisetherapies.org/blog/team-members

https://www.understood.org/en/articles/compare-the-signs-how-to-tell-a-tantrum-from-a-meltdown

https://www.citherapies.com/blog/tantrums-vs-sensory-meltdowns/

https://www.thehighlysensitivechild.com/tantrum-or-sensory-meltdown/

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