センサリールームとは、音や光、ニオイなどの五感の刺激を少なくし、聴覚・視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごせる空間・部屋のことです。今回は「福岡PayPayドーム」のセンサリールームを紹介します。
株式会社乃村工藝社の実証実験〜協力:福岡ソフトバンクホークス株式会社
福岡ソフトバンクホークス株式会社協力のもと株式会社乃村工藝社により、2022年8月31日、9月1日、9月3日の3日間、福岡PayPayドームのVIPルーム1室でセンサリールームの環境が整えられました。当日は感覚過敏を持つ子どもとその家族を招き、利用環境の調査が行われました。
この企画では、筑波大学の佐々木銀河先生との協力のもと、株式会社乃村工藝社が空間のプロトタイプ設計やインテリア選定、試合当日のオペレーション、試合前後の利用者ヒアリングなどを、佐々木先生と共同でイベント終了後のデータ収集や分析が行われたようです。
株式会社乃村工藝社では、今後もセンサリーフレンドリーな空間調査・研究活動を続けていくそうなので、五感にやさしい社会の実現に近づけばと思います。
福岡PayPayドームのセンサリールーム実証実験概要
期間:8/31(⽔)ナイター、9/1(⽊)ナイター、9/3(⼟)デーゲームの3試合
体験数:上記それぞれ1家族(計3家族)
調査内容:トライアル環境の使い⼼地など、利⽤⾯に関する調査、事前予約や、当⽇のご案内など、サービス⾯に関する調査、そのほか、各種の聞き取り調査
※写真引用:乃村工藝社のソーシャルグッド活動:福岡PayPayドームにて「センサリールーム」トライアルイベントを実施しました
所長・加藤路瑛のレビュー
日本ではサッカースタジアムでのセンサリールームの取り組みが広がっており、単発イベントだった取り組みから常設へと変化してきています。海外ではサッカースタジアムだけでなく、野球場やバスケットボールの試合会場でもセンサリールームが普及しています。
残念ながら日本の野球場でのセンサルールームはまだですが、今回の福岡PayPayドームの実証実験は野球界にセンサリーフレンドリーな空気を入れる大きな一歩だと思います。私も小学生の頃に野球の試合は何度か行っており、福岡ドームも行ったことがあります。
野球観戦は音楽や声援含めてが1つの楽しみでもありますが、中には静かに見たい人、人の多さに疲れてしまう人、じっと同じ場所にいるのが苦手な人など様々な特性やニーズがあります。1人1人の要望に合わせるのは大変なことであり、そういう人は家でテレビを見て応援すればいいというのが今までの考え方でした。
しかし、コロナ社会を経て、集まることの喜びや臨場感というものの大切さもまた感じている人が多いと思います。「感覚過敏を理由に今をあきらめなくていい社会をつくる」これが感覚過敏研究所のミッションですが、感覚過敏があるから大好きな野球観戦ができない社会はもう終わりにしたい。
野球界におけるセンサリールームの普及を私も担いたいと思っています。福岡PayPayドームが実証実験を経て、常設センサリールームの設置を検討いただけるのなら嬉しく思います。その時は私も利用させていただきたいです。
クワイエットアワーを広めたい!
センサリールームやクワイエットアワー、センサリーマップは感覚刺激に強い反応をする方々にとって安心できる空間・時間・ツールです。日本ではまだ浸透していない取り組みです。感覚過敏研究所SDI推進室としても、センサリールームの社会実装に力を注ぎたいと考えております。ご賛同くださる方、ともに社会実装に取り組んでくださる企業様・パートナー様を広く募集しております。
注)当記事は日本社会に向けて、クワイエットアワー、センサリールーム、カームダウンスペース、センサリーマップ、センサリーフレンドリーな商品の重要性をお伝えするものです。感覚過敏研究所SDI推進室が取り組んだ実績ではございませんので、ご了承ください。
文:いうと