私が聴覚過敏を受け入れるまでの体験談(小学校・中学校・高校)と未来への想い

自己紹介

私は兵庫県在住のMegu 高校三年生、です。幼い頃から音に敏感で、学校生活の中で聴覚過敏によるつらさを抱えてきました。

現在は、ノイズキャンセリング技術が自分の生活を支えてくれた経験から、大学では音響工学やノイズキャンセリング技術について学びたいと考えています。

気が付いたきっかけ

小学生の頃、学校へ行くことが苦痛になり、朝になると理由もわからないまま「行きたくない」という気持ちが強くなっていました。

教室に入ると、男子児童の大きな声やけんかの声、ざわざわした雑音が強いストレスとなり、心身ともに負担が大きくなっていきました。

保健室で過ごす時間が増える中で、自分は周りの音に強いストレスを感じていることに気づきました。保健室の先生の勧めで発達検査や病院を受診し、感覚過敏であることがわかりました。

同時に、ADHDやASDの傾向があることも知り、自分の感じ方や行動の理由が少しずつ理解できるようになりました。

小学生時代

小学生の頃、休み時間に友達が騒ぐ声や、人混みのざわざわした音など、周りの人にとっては当たり前の環境が、私にはとてもつらいものでした。

誰も悪意がないのに、その音が耐えられない自分を責めてしまうことも多くありました。 ちょうどその頃、ノイズキャンセリング技術が一般的になり始めていた時期でもありました。

私が小学6年生のとき、母が「これなら少し楽になるかもしれない」とノイズキャンセリング機能付きの耳栓を買ってきてくれました。

キングジム デジタル耳せん MM1000 ホワイト
キングジム デジタル耳せん MM1000の画像
  • 周りの騒音がしっかり減る
  • 電池一本で長持ちする
  • つけていることが目立つ
  • 外の音に敏感な人でも安心
  • 長時間の使用はつかれる

初めて使ったとき、今まで苦痛だった雑音がすっと遠ざかり、頭の中が静かになる感覚に驚きました。この体験は、私の生活を大きく変えるきっかけになりました。

その一方で当時の私は、自分の聴覚過敏を受け入れられず、学校で耳栓やデジタル耳栓をつけることにも葛藤がありました。「なんでつけているの?」と聞かれると、ただの疑問だと今ならわかるのに、当時は攻撃されたように感じてしまっていました。

中学生時代

中学生になると電車通学が始まりました。私が入学したのはコロナ禍が始まった2020年で、感染症対策として電車の窓が開けられるようになり、走行音がダイレクトに耳に届くようになりました。

普段から音に敏感な私にとって、その大きな走行音はとてもつらく、通学のたびに強いストレスを感じていました。
入学前から学校には事情を説明し、ノイズキャンセリング付きイヤホンや耳栓の使用許可をもらっていました。先生方全員に共有していただいたおかげで入学初日から安心して使うことができました。学校で使っていた耳栓です。

中学時代に使用していた耳栓。
3Mペルターイヤーマフの画像
  • デジタル耳栓より小さく目立ちにくい
  • 電気を使わず使用できるため、充電忘れの心配がない
  • イヤホンの機能はないため学校での許可が取りやすい
  • ノイズキャンセリング機能はなく、耳栓の進化版のようなもの
  • 付属のひもをつけると服にこすれて音がするため外して使用している
  • ひもを外すと紛失のリスクが上がる

また、コロナ禍で学校行事が縮小されたり中止になることも多く、寂しさはありましたが、一方で全校集会が各教室からの参加に変わったことで、大人数の雑音を聞く機会が減り、聴覚過敏の私にとっては負担が軽くなる面もありました。

高校生時代

高校に進学してからも、聴覚過敏によるつらさは続いていました。朝の満員電車や走行音は相変わらず大きく、特に疲れている日は音が刺さるように感じることもありました。

しかし、中学生の頃から使い始めたノイズキャンセリング付きイヤホンは、高校生活でも大きな支えになりました。耳栓では防ぎきれなかった雑音が軽減され、通学中のストレスが和らいでいきました

高校では先生方の理解もあり、必要に応じてイヤホンや耳栓を使わせてもらうことができました。教室のざわざわした音がつらいときには、ノイズキャンセリングが心の支えになりました。

また、自分の特性とうまく付き合う方法も少しずつ身につけ、疲れがたまると音への敏感さが強くなることに気づき、休憩や静かな場所でのクールダウンを意識するようになりました。

中高の6年間で、周囲の支援に助けられたことはもちろんですが、何よりの成長は「自分自身の聴覚過敏を受け入れ、自分の体調との付き合い方を理解できるようになったこと」だと思います。

こうした経験を通して、ノイズキャンセリングという技術が私の生活を支えてくれる大切な存在であることを改めて実感しました。そして、自分と同じように音で困っている人の力になれる技術を学びたいという思いが、より強くなっていきました。

当事者として社会に思うこと

ノイズキャンセリング付きイヤホンが一般的になったことで、見た目だけでは「音楽を聴いているのか」「ノイズキャンセリングだけを使っているのか」「耳栓なのか」を判別することはできません。

映画館や講演会などでイヤホンのようなものをつけている人を見たとき、すぐにマナー違反だと決めつけるのではなく、聴覚過敏などの理由で使っている可能性も考えてほしいと思っています。

聴覚過敏は、見た目ではわからない障害です。普通に生活しているように見えても、実際には日常のささいな音が大きな負担になることがあります。そして、特に苦手な音は人によって全く違います。

大きな声がつらい人もいれば、金属音や反響音、人混みのざわざわした音が苦手な人もいます。

私は、運動会や宿泊行事などの大きな音があるような学校行事に参加したい気持ちがありますし、友達と遊園地やカラオケなどの大きな音のする可能性がある場所でも行きたいという思いもあります。

実際に「無理だよね」と言われたことはありませんが、そう思う人がいてもおかしくないと感じる場面はありました。確かに、ほかの人より音に対する感じ方は違いますし、行った翌日に疲れが出て寝込んでしまうこともあります。

それでも、「行きたい」という気持ちは確かにあります。だから、最初から「無理だ」と決めつけずに、まずは声をかけてほしいと思っています。選択肢を奪われることが一番つらいのです。

そのためには、感覚過敏で困っている人がいるということを、もっと多くの人に知ってもらう必要があります。

いつか、目が悪い人がメガネをかけて生活するように、聴覚過敏の人が耳栓やノイズキャンセリングを使って生活することが当たり前になる社会になってほしいと願っています。

これからのこと私は大学でノイズキャンセリング技術の研究をしたいと考えています。現在のノイズキャンセリングは外部の騒音を抑える技術は発展していますが、自分の咀嚼音などの「内部音」には十分に対応できていないと感じています。

私は、内部音にも対応できる新しいノイズキャンセリング機能を開発したいと思っています。

聴覚過敏の人が音によって自分の可能性を閉ざされることなく、安心して社会で活躍できる環境をつくることのできる研究者になることが私の目標です。

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