大阪「夢洲駅」のカームダウン・クールダウンスペース【体験レポート】

夢洲駅カームダウンスペース

カームダウン・クールダウンスペースとは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、感覚過敏によるストレスの軽減やパニックの回避やクールダウンに使用できるスペースです。今回は、夢洲駅のカームダウン・クールダウンスペースについて紹介します。(後半、所長・加藤の視察レポートも掲載しています。最後までご覧ください!)


この記事を書いた人

感覚過敏研究所 インターン
いうと

感覚過敏研究所では、X(Twitter)運営やセンサリールームやカームダウンボックスなどのコラム作成などを担当しています。感覚過敏の自覚症状はありませんが、所長のビジョンに賛同し、インターンとして参画しています。

夢洲駅のカームダウン・クールダウンスペースについて

夢洲駅のカームダウン・クールダウンスペースは、2025年1月19日の開業に合わせて設置されました。

このカームダウンスペースは全体が黒で統一されており、中にはソファが設置されています。体験された方の意見をお聞きすると、天井がなく、外の光がそのまま入ってくる構造のため、音や光の遮断効果は高くはないようです。

写真提供:かわうそさん
写真提供:かわうそさん

カームダウン・クールダウンスペースが設置された場所は?

夢洲駅のカームダウンスペースは、きっぷ売り場・駅長室付近と、ホーム行きエレベーター付近の2箇所に設置されています。

分かりやすいように印をつけました

駅構内の案内板には2箇所のカームダウン・クールダウンスペースの場所が掲載されており、利用したい人にとって安心できる情報です。

夢洲駅のカームダウン・クールダウンスペースの案内板
写真提供:ゆめ・白杖の元ケアラーさん

所長・加藤路瑛のレビュー

大阪万博に向けて、ついに「夢洲駅」が2025年1月19日に開業しました。実は、カームダウン・クールダウンスペースが設置される情報を知ったのは直前で、とても驚きました。というのも、駅での事例は今までなかったのです。空港ではカームダウンスペースの事例が増えていますが、保安検査場を通過した先にあり、利用者は限定されます。駅のように不特定多数の方が利用される場所に設置するには懸念点がありました。それは、目的外利用や犯罪などに利用されていまう可能性が払拭できなかったからです。

ですから、駅にカームダウン・クールダウンスペースが設置されたことは、大きな一歩であり挑戦だと感じています。決断してくださった方々に感謝を伝えたいです。

さて、設置されたカームダウン・クールダウンは周辺の壁と同じ黒を基調としており、場所に溶け込んで違和感は全くないです。カームダウン・クールダウンスペースを知らない人は、喫煙所や物置のように思えてスルーしてしまうことでしょう。利用者にとっては、興味本位に覗かれる確率が減りますので、目立たずに「知る人ぞ知る」という状態は安全といえば安全かなとも思います。

カームダウン・クールダウンスペースの実際の写真を見ると、座る場所に光が差し込んでいるので、眩しさを抑えることはできていないかもしれません。また、設置場所の通行量がわかりませんが、万博開場中は人通りが多く、騒がしい可能性があります。また、壁材を写真で見る限り、音の反響も気になるところです。
私も体験に行きたいと思っていますので、その時は体験レビューを投稿させていただきます。

夢洲駅のカームダウン・クールダウンスペースは、まだまだ改善できる点があります。きっと少しずつ改善されていくと思いますが、カームダウンすペースはどのような箱や仕切りを置くかは重要ではなく、どのように設置するかという環境調整が重要であり、そのアドバイスを得意とするのが私です。いつか、夢洲駅のカームダウン・クールダウン設置ご担当者とお話できればいいなと思っています。

(続編)所長・加藤路瑛の体験レポート

大阪万博が開幕する少し前の2025年3月に夢洲駅のカームダウンスペースを体験してきました!その時の体験レポートになります。

駅に2カ所設置されていますが、場所は要注意!!!

夢洲駅のカームダウンスペースの案内

電車を降りて駅のホームの案内板を見ると「カームダウン・クールダウンスペース」が2カ所あり、到着までの距離も書かれています!「これはやさしい!」と思ってしまいますが、注意が必要。


なんと、出口と書かれている方のカームダウンスペースは改札を出ないと利用できないのです。近い方で休憩しようと思ったら・・・改札の外に出ないと利用できないというケースが発生します。改札内に居たい場合はもう1カ所のカームダウンスペースに行かなければなりません・・・・(これ、きちんと改札外になることを案内してほしいなと思います。利用したい人にとって大きな問題になることもあります)


改札内のカームダウンスペースを体験


夢洲駅のカームダウンスペース

ホームからエスカレータで上の階にのぼり、お目当てのカームダウンスペースの前に立つ。黒くてかっこいいのですが、嫌な予感しかない。(批判したいわけではないのでご理解ください。)

写真、お分かりでしょうか?天井の照明の光が一直線にカームダウンスペース内に伸びているのです・・・。さて、中に入ってみましょう!


夢洲駅のカームダウンスペース

予想通り、天井の照明がカームダウンスペース内に降り注いでいます。座っている私の顔周りを見ていただきたいのですが、完全に照明があたっています。カームダウンスペースは遮光できることが理想ではありますが、カームダウンスペースの外の方が眩しくないという状態は回避していただきたいです。(ここは一緒に改善方法を話し合いたい点です!)

また、壁やカームダウンスペースの素材が光を反射しやすい素材のため、余計に眩しく感じます。(また、反響もするため、このエリアに吸音シートを貼ることをお勧めしたいです。それによって、吸音と光の反射は抑えられるでしょう)


改札を出てもう1つのカームダウンスペーへ!


夢洲駅改札

夢洲駅の改札はとても大きいです!改札を出て右手、写真では見えませんが、自動販売機の並びにカームダウンスペースはあります。(写真では柱で見えません)


夢洲駅カームダウンスペース



近づいてみる!真上に照明がありますが、改札内のカームダウンスペースのように、光のビームはない!これは期待できるのでは!


夢洲駅カームダウンスペース


写真、ご覧ください。私の頭部にしっかり光が注いでいることが写真で確認できます。そして、シート全体、影が全くないこともお分かりいただけるでしょう。(このスペースを作って下さった人を否定したいわけではないのです。ごめんなさい。この点、一緒に改善方法を話し合えたら嬉しいです)


もう1つ深刻な問題


夢洲駅カームダウンスペースのごみ

私が訪問した日も、カームダウンスペース内には空き缶や飲んだ薬のゴミがありました。(上記写真:左)


さらに、他の利用者からも、ゴミ問題の連絡をいただいていました。(上記写真:中、右)

これは、利用者の意識の問題だと思う。みんなが気持ちよく使えるように、お互いがきれいに使う必要がある。もちろん、人間というものは、誰も見ていなければ楽をしようとしてしまう生き物でもあるので、このようなゴミが置きっぱなしにならない仕組みを考えることも大切だと思う。


さらに再訪問したので追記!

2025年5月、再訪問させていただきました!センサーが付いているとの情報をいただいておりました!


夢洲駅カームダウンスペース

人感センサーが設置され、人がいると青く光るというものです。しかし、カームダウンルームって、じっと座っているので、人感センサーだけでは入った瞬間だけ点灯して、静かに座っていると消えてしまうのですよね・・・(私もこの仕組み、作ろうと試みたことがあったのですが、人感センサーだけでは難しいです)


ただ、試行錯誤してよりよりカームダウンスペースにしていこうという夢洲駅の姿勢が見えて、とてもありがたいです。駅でのカームダウンスペースは、不特定多数が利用されるので、運用がとても難しい。そこに挑戦くださり夢洲駅を支持しますし、私も改善に協力したいと思っております!(夢洲駅のご担当者さん、ご覧くださった際にはご連絡ください!)


所長レビューはこの人

jiei kato

感覚過敏研究所 所長
加藤 路瑛

自分の困りごとである「感覚過敏」の課題解決に向き合い、2020年1月に感覚過敏研究所を設立。感覚過敏がある人たちが暮らしやすい社会を作ることを目指し、商品・サービスの開発・販売、感覚過敏の研究や啓発に力を注いでいる。所長挨拶はこちらから

引用/参考先

大阪市「Osaka Metro中央線の新駅「夢洲駅」の開業日について」

スポット情報

夢洲駅
〒554-0044 大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目
https://subway.osakametro.co.jp/station_guide/C/c09/

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