【体験談】交通事故による高次脳機能障害で感覚過敏になった話 vol.2

感覚過敏研究所サポーターの柳澤久幸です。前回の私のコラムで高次脳機能障害についてご紹介しました。

前回コラムの振り返り

高次脳機能障害は生活全般が「行いにくくなる」障害で、脳の病気や交通事故などで「誰でも」起こる可能性があるということをご紹介しました。そして、私たちは生活の中で多くの情報を見たり、聞いたり、匂いを嗅いだりなどの感覚を得ていますが、高次脳機能障害では、その情報の入力と出力をスムーズに行うことができません。

参照:国立障害者リハビリテーションセンター高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害を理解する」

感覚過敏とは?

当研究所では感覚過敏を『 「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」などの、諸感覚がとても敏感になっている状態』と説明しています。

つまり、感覚の元となる情報にからだが敏感に反応してしまうということです。もちろん、人間が安全に生きる上で必要な反応でもあります。

私も人ごみに行くと、気分が悪くなったりイライラするわけなんですが、人ごみでは以下のようなことが起こります。

  • 沢山の人の姿を見て目が回る
  • 人のざわざわする声を聴いて落ち着かなくなる
  • 他人の汗の臭い、香水、加齢臭を感じてしまう
  • 電車の中などで食べ物の臭いを嗅いでしまい、気分が悪くなる

人ごみでは多くの人を見て、声を聴いて、加齢臭や香水の匂いを嗅いでと一度に沢山の情報を処理します。この過程では、視覚をはじめとする感覚をとても使うので非常に疲れてしまいます。

実は高次脳機能障害や認知症といった病気でも同じようなことが言えます。いずれも情報を処理する脳機能の障害ですので、情報量が多いか少ないかはその人の生きやすさにつながってきます。

感覚過敏の世界

今これを読んでくださっているあなたに少し考えてみてほしいことがあります。

電車の中で大声を出している高校生ぐらいの学生、その傍らで香水の匂いが強いスーツ姿の人、加えて満員電車であなたは立っているとします。

あなたは、この状況でイライラしたりしますか?もしくは早く降りたいですか?少し想像してみてください。

きっとイライラしたりすると思うんですね。それは誰にでもおこる感情だと思います。高次脳機能障害ではそこに易怒性(怒りっぽくなること)や脱抑制(感情を抑えられない)といったものも加わります。

外見上、見た目で障害があるかないかはわからないことが多いです。これは認知症や心臓など体の中の手術や病気をした人、耳が聞こえにくい人でも同じです。そしておなかに赤ちゃんがいる妊娠したばかりの女性も見た目の変化がわかりません。こういった人達のためにあるのがヘルプマークです。

思いやりを伝えるヘルプマーク

ヘルプマークは徐々に浸透しつつありますが、まだ浸透しきっていない状況です。私もヘルプマークがあっても知ってる人が少ないからつけてもな…と思ってました。

ただつけないで電車を使うと満員電車に乗って立つ羽目になったりします。ある人に「ヘルプマークを広めるためにもつけた方が良い」と言われました。ただ、誰でも使えるので悪用されるケースがあるらしいところが悩ましいところです。

ヘルプマークとは、気にかけてほしい・配慮してほしいということを伝えているマークです。高次脳機能障害や認知症などは、外見ではそれらがあるとは思えません。

※東京都福祉保健局ホームページで詳しいことが説明されています。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

障害は個性

感覚過敏の生きにくさについては、前回からお話しているかと思います。生きにくさは、障害がある人が多かれ少なかれ感じていることなのかもしれません。

私も高次脳機能障害を負ってからしばらくの間は、「障害がある自分なんか…」と思っていました。ですが、事故から1年以上が経った頃、本やテレビなどを見ていて、障害は個性だよなと思うようになりました。

障害が個性だとしたら、感覚過敏も個性なのかもしれません。当事者やその周りにいる人も個性だと捉えられると肩にのしかかる重荷が減るかもしれません。

まとめ

vol.1で高次脳機能障害の全体像をお話して、vol.2で生きにくさを考えてきました。感覚過敏をもって過ごすことは、とても社会生活がしにくくなり、生きにくさを感じることもあるかと思います。それを乗り越える方法として、障害を個性と捉えることやヘルプマークというものを上手に使うということをお話しました。

高次脳機能障害をはじめとする感覚過敏を持つ人が生きやすい社会になることを願ってやみません。その社会を創るための取り組みとして、感覚過敏研究所が果たす役割は大きいでしょう。


参考・引用文献
1)和田義明:リハビリスタッフ・支援者のためのやさしくわかる高次脳機能障害,秀和システム,2012.

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