制服着用がつらい生徒のための「異装届」を活用した学校対応の進め方について

感覚過敏研究所のアパレル部門の清水です。主に、感覚過敏課題解決アパレルブランド「KANKAKU FACTORY」の服のパターン作成や縫製工場との窓口を担当しています。最近は、肌着や下着の新商品の企画にも携わっています。

今回は、感覚過敏で制服着用が難しい、あるいはつらくて困っているときの対応策として、「異装届」についてお話します。

感覚過敏と制服の問題

「制服がつらくて学校に行けない」

子どもからそう言われたとき、戸惑いと同時に学校にどう説明すればいいのか、迷惑をかけてしまうのではと悩む保護者は少なくありません。

ですが、学校には感覚過敏による制服の困りごとに対応するための仕組みがあります。

そのひとつが「異装届」です。

感覚過敏をもつ子どもにとって、制服の着用することにより、以下のような点が強いストレスになることがあります。

例)

  1. ブレザーの裏地がちくちくして痛くて着られない
  2. シャツの衿が首に触れると吐き気が出る
  3. スカート、ズボンのウエストの締め付けで腹痛が起きる

これらは外からは見えにくく、「我慢すれば?」と言われやすいものです。

しかし実際には、集中力の低下、頭痛や腹痛などの体調不良、登校の困難につながる点が懸念されます。

「異装届」はわがままではなく 合理的配慮

多くの学校では、異装届や服装に関する特例申請、個別配慮申請といった名称で制服に関して柔軟に対応するための制度があります。

異装届は、校則違反の免除ではなく、教育を受けるために必要な配慮をお願いする手続きです。

近年、インクルーシブ教育、文部科学省の「合理的配慮」の流れもあり、「制服を着ること」よりも「安心して学校生活を送れること」が優先されるべきという考え方が近年広がっています。

異装届を申請する際の注意点

感情を伝えるより、具体的に伝えることがポイントになります。

目的は「服装」ではなく、子供にとっての「学習環境の確保」ということを念頭において相談しましょう。

1.何がつらいのかを整理する 

体調や学習への影響としてまとめましょう。

例)

  • ブレザーの裏地がちくちくして痛くて着られない
  • シャツの衿が首に触れると吐き気が出る
  • スカート、ズボンのウエストの締め付けで腹痛が起きる

2.代替案を準備する

学校側が検討しやすくなります。

例)

  • 市販の無地ポロシャツ(色は学校指定シャツに合わせる)
  • 体操服登校
  • 部分的に免除(上着のみ、ネクタイ・リボンのみ)
  • 素材違いの同系色のズボン、スカートの着用

3.相談時の伝え方

保護者が自分を責めたり、遠慮しすぎる必要はありませんが、子供の状況を具体的に説明し、伝わりやすい伝え方を心がけましょう。

例)

  • 「この服装だと体調を崩してしまい、学習や学校活動に支障が出ております」
  • 「登校を継続するための最低限の配慮をお願いしたいです」

【NGになりやすい伝え方】

  • 「うちの子は無理なんです」
  • 「校則が厳しすぎる」

異装届に診断書は必要?

学校によって対応が異なりますが、診断書がなくても受理されるケースと医師の意見書があると話が進みやすいケースがあります。

正式な診断書がなくても、「感覚過敏の傾向があり、日常生活や学校生活に支障がある」という医師のコメントで十分な場合も多く、無理に診断を取る必要はありません。

「異装届」は子どもが学校生活を安心して過ごすための手段です。

異装は本人にとって、目立つ不安や周囲からの視線、理由を聞かれるストレスを伴うことがあります。

本人の安心感を最優先に、クラスへの説明は先生からしてもらう、理由は伏せてもらう、段階的に対応する等、無理のないよう相談しながら進めていきましょう。

異装届以外での対処方法

感覚過敏で制服が着られない場合、「異装届を出す」ことが一番知られている対応ですが、実際にはそれ以外にも学校と相談できる方法があります。

状況や学校の方針、本人の気持ちに合わせて段階的、組み合わせ的に使える選択肢を知っておくことが大切です。

1.制服はそのまま+インナー等の工夫で乗り切る方法

学校の正式な申請を出す前の、最初の一歩としてよく使われます。

例)

  • タグをすべて切る、縫い目をテーピングテープなどで覆う
  • 肌に直接触れないよう、シャツやズボンの下に本人が着用できるインナー、薄手Tシャツを着る
  • ウエストのベルトをやめてゴムの仕様に変更
  • スカートやズボンのサイズを上げる

制服そのものを変えなくても、刺激を減らす工夫で改善するケースもありますが、これらの方法でも改善しない場合、「本人の努力が足りない」のではなく、次の段階に進むサインです。

2.部分的配慮をお願いする(異装届未満)

負担の大きい部分のみ外すことで、学校側も合意がしやすくなります。

例)

  • ネクタイ・リボン着用の免除
  • 上着(ブレザーやジャケット)のみ免除
  • 冬服期間でも夏服の着用を申請
  • 校内のみ体操服の着用
  • 一定期間、体操服での登校申請(様子見、心身・体調回復までの暫定措置)

3.保健室・別室対応と組み合わせる

制服を着て教室に入るのがつらい場合、登校後に保健室で着替える、半日(午前中)だけ体操服着用、体調が悪い時間帯は別室で過ごすなどの生活面での調整で対応するケースもあります。

制服着用困難という問題を、「服だけの問題」にせず、学校生活全体で調整する発想です。

4.学校カウンセラー、養護教諭を経由する

担任だけで話が進みにくい場合、養護教諭(保健室の先生)、スクールカウンセラー、特別支援コーディネーター等を通すと、「健康、心理面での課題」として整理されやすくなります。

本人が言葉で説明しにくい、保護者だけでは説得力が弱い場合に有効です。

5.医師の意見書、コメントを活用する

正式な診断書でなくても、通院証明や医師からの一言、簡易的な意見書があるだけで、学校の判断がスムーズになる場合があります。生活や学習への影響を考慮し、医師からのコメントを提示してみることも一つの方法です。

6.制服自体を「別素材」に変更する

学校や制服業者によっては、同じデザインで素材違いやオプション制服、パンツ・スカートの変更が認められる場合もあります。

最近では「感覚に配慮した制服」を扱う業者も増えており、学校が知らないだけというケースもありますので、学校が取り扱っている制服業者に相談してみましょう。

感覚過敏研究所でできること

感覚過敏研究所には「学校の制服がつらくて不登校になった」「進学先の制服が着れません。諦めるしかないのでしょうか?」そんな相談を多くいただきます。

ここまで説明した方法の他に、感覚過敏研究所としては、以下の商品やサービスをご用意しています。

方法1:カームダウンパーカーの着用

感覚過敏の人のためのカームダウンパーカーを制服の代わりに着用することを学校に許可をもらって投稿しているお子さまがいらしゃいます。

方法2:「やさしいワイシャツ」の着用

感覚過敏研究所はカンコー学生服と共同で、刺激の少ないやさしいワイシャツを開発・販売しています。

毎年、卒業式・入学式・入社式のシーズンにはたくさんの方が購入されており、「あきらめていましたが無事に卒業式に参加できました」「毎日、ワイシャツのおかげで登校できています」と喜びの声も届いています。

方法3:「感覚過敏相談シート」の活用

学校へ感覚過敏の困りごとや対応策を相談する際に利用できる「感覚過敏相談シート(学校編)」を作成しております。無料でダウンロードしてどなたでもご利用いただけます。

方法4:感覚過敏コミュニティで相談

感覚過敏研究所では、感覚過敏当事者とご家族が無料で参加できるコミュニティを運営しております。2026年2月現在、1,600名以上の方が参加されています。

いちばん大切なのは 子どもの気持ちに寄り添う

どの方法を取るにしても、子どもが毎朝泣く、体調を崩す、登校を嫌がる状態が続くなら、別の方法を選ぶべきサインです。

「制服を着せること」にとらわれず、子どもの状態や学校環境に合わせて、小さな調整から始め、安心して学校での学びが続けられるよう環境を整えていくことが大切です。

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