このコロナ禍において、お店を経営されていらっしる方、対面での接客をされる方は様々な問題に直面されていらっしゃることと思います。今回は、「マスクをしていないお客様」について少しお話ししたいと思います。
店内にマスクをしていないお客様が来店されたら、どのような対応をされますか?感染症対策としてマスク着用が推奨されております。店内入口にマスク着用をお願いするポスターや記述をしているお店がほとんどです。
しかし、世の中には感覚過敏やその他、様々な理由でマスクが着用できない方々がらっしゃいます。基本的にマスクがつけけれない方の多くは、外出を極力控え、出かける場合も密な場所を避けるなど工夫や周囲への配慮をしながら生活しています。
しかし、時には買い物が必要になりますし、用事があって室内に入らなければならないこともあります。
店内の入り口に「マスクを【必ず】着用してください」と書かれているお店に入ることは避け、「できるだけマスクの着用にご協力ください」など表現がやわらかいお店を選んでいらっしゃる方もいます。また、最近では、マスク着用ができない方々に配慮し、「マスク着用をお願いします。ただし、感覚過敏などマスクの着用が難しい方を除く」というように、例外を記載いただくお店も増えてきました。
厚生労働省は、「マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について」として、感覚過敏などがある方でマスクが着用できない人に対して国民の理解を呼びかけています。この呼びかけに応じ、マスクがつけられない方への理解や配慮が広がっていることを、感覚過敏研究所でも嬉しく、そしてありがたく感じています。
このページでは、マスクがつけられないお客様の対応について、ご提案したいと思います。
マスクがつけられないマークをつけていただく
感覚過敏研究所では、マスクがつけられないことを可視化し、周囲の方に伝えられるように、「マスクがつけられません」と書かれた缶バッジやシール、意思表示カード を作成しています。マスクをつけられない意思表示カードは2020年4月に、当時中学生だった当研究所の所長が考案し、困っている方々のために無料公開いたしました。現在、さまざまな類似アイテムが作られておりますが、おそらく、日本国内で一番最初に取り組んだのは感覚過敏研究所の所長だと認識しております。(違っていましたら、申し訳ございません。また海外情報は未確認です)
感覚過敏研究所では、これらのアイテムをお客様にご利用いただければと考えます。もちろん、マスクをしていないので、感染予防としては課題がありますが、周囲のお客様がマスクをつけていない理由を認知し、わずかではありますが安心できる効果はあります。
まずは、感覚過敏研究所で提供している缶バッジ・シール・カードを紹介します。
マスクがつけられません缶バッジ
感覚過敏研究所ネットショップで販売しています。(1個税込680円)
マスクがつけられませんシール
感覚過敏研究所ネットショップで販売しています。(1枚税込330円)
実はこのシール、航空会社のスカイマークさんが採用してくださってます。
マスクの着用を巡って、航空会社とトラブルになる事件もございましたが、スカイマークさんは、マスクがつけられずに搭乗できるか不安な方や、マスクをつけていない乗客を見たときの周囲の乗客の不安などを考慮し、シールという形で配慮を視覚化してくださいました。
現在、空港や航空会社では、マスクを着用していない方にお声がけすることになっているそうです。様々なスタッフに声をかけられ不安やストレスも多くなります。スタッフの方々の仕事も増えます。このシールをつけていらっしゃう方は、すでにマスクがつけられない事情があることを確認済みであることを一目でわかるメリットもございます。
参考記事:マスク着用が困難な人が飛行機に乗りたい場合の対処方法。航空会社のマスク着用ルール。
このシールや缶バッジをお店でも採用したい!という企業様がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
マスクがつけられない方のための意思表示カード
感覚過敏研究所では、シールや缶バッジの販売のほかに、感覚過敏によってマスクの着用が難しい方向けに「意思表示カード」を作成し、無料でご利用できるように公開しています。
感覚過敏研究所作成:マスクがつけられない方のための意思表示カード
印刷して、ご自身で切ってネームホルダーや名札ケースに入れてご利用いただけます。基本的に個人使用を想定しておりますが、お店で切ったり、ネームホルダーに入れるなどの対応をいただけるならご自由にご利用ください。
お店や公共施設などで掲示できるポスターもあります。(無料ダウンロード可能。PDFのみ)
ポスター(ブルーVer.)
ポスター(グリーンVer.)
PDFにて無料ダウンロード可能
注意事項
・無料でご利用可能ですが、デザインの変更は禁止しています。
・お問い合わせエリア(白地の部分)は自由にお使いください。
・A4サイズで作成しています。縮小拡大は自由です。
・施設での掲示やウェブサイトでご利用可能です。
・著作権は感覚過敏研究所にあります。
・使用許可を取る必要はございません。
せんすマスクで飛沫対策も1案
意思表示カードを無料公開し、多くのメディアに取り上げていただきましたが、「代替案もないくせに、こんなカードを作るな」という声もいただきました。代替案があることが望ましい。けれど、マスクは痛くて苦しくて着用が難しい人がいます。我慢してつけられるレベルではない痛みを感じる方もいらっしゃいます。また、「フェイスシールドをつけろ」という声もたいへん多く届きます。しかし、顔周辺の触覚に過敏さがあるならば、フェイスシールドも同様に皮膚に接触する部分が痛いのです。
感覚過敏研究所では、マスクができない方々の代替案として「せんすマスク」を考案し、2020年7月末から販売しています。2021年現在、合計5,000本以上を販売いたしました。ノーマスクよりも少しでも飛沫対策をしたいという当事者たちの気持ちでもあります。
透明な「せんすマスク」は口元が相手に見えるため、聴覚障害の方との会話など口元や表情を見せたい場合にもご利用いただけます。プラスティック製なので、水洗いやアルコール消毒もできるので清潔に保てます。
また、触覚過敏キャラクターのハリネズミの「せんすマスク」もございます。こちらは軽いので小さいなお子様が持ちやすいことと、説明が書かれているので言葉で伝えなくても理解されやすいことがメリットです。
成田国際空港で採用された「せんすマスク」
ハリネズミの「せんすマスク」と透明な「せんすマスク」は成田国際空港で採用いただいています。成田空港第1、第2、第3ターミナルの一部の案内所に置いており、病気や特性など様々な理由でマスクが着用できない方に無料配布されていらっしゃいます。
「マスク着用が難しい方向けに…」 成田空港が『取り入れた物』に称賛の声!(grape掲載記事)
飲食店や結婚式でもご利用が広がる「せんすマスク」
せんすマスクは、現在、病院や飲食店など、マスク着用が難しいシーンや場所においても採用いただいています。企業の会議や会食などでもまとまった数をご用意されるケースもございます。
参考:【せんすマスクを採用いただける施設向けポスターつくりました】マスクをつけられないお客様対策として
結婚式でも最高の笑顔をお見せできるようにと「せんすマスク」をご利用されたり、ご自分でデコレーションされている方もいらっしゃいますし、長崎のPanieggRoseさんのようにレース仕様にした「せんすマスク」を販売されているお店もあります。
現在、飲食店での会話も課題ですが、席に透明なパーテーションがあると相手の声が聞こえないという問題もあるようです。せんすマスクをご利用いただければと思います!
オリジナルせんすマスクも作成可能!
お店のロゴ入りの「せんすマスク」も作成しています。ノベルティーとしてお客様にプレゼントされているお店もあります。また、ロゴだけでなく、デザインせんすマスクもご相談にのれます。ゴスペラーズさんは素敵なデザインのせんすマスク作成されています!
ゴスペラーズさんのせんすマスクは、現在お取り扱いを終了しています。
私もオリジナルせんすマスクを作りたい!ロゴ入りせんすマスクを作りたい!という方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。200本から対応しております。(少ない数でもご相談にのれます!)
マスク着用以外の方法を考える
- マスクではなく、ハンカチで口をおさえることをOKとする
- ハンカチの素材が苦手な人もいますので、手で押さえるのをOKとする
- 3密にならないエリアではマスクなしを許容する
- 飲食店などは、入り口付近の換気の良い場所を利用してもらう
- ご利用者が少ない時間帯ならマスクなしでも利用可能にする
- マスクがつけられないカードを見える場所に掲示する
- せんすマスクをご利用いただく
などの対応方法があります。(アイディアが増えましたら追記します)
ワクチン接種しました缶バッジ・シールを利用する
感覚過敏研究所では、ワクチン接種済みの方がご利用できる「ワクチン接種しました缶バッジ」「ワクチン接種しましたシール」を作成しています。この缶バッジは、マスクがつけられない方だけでなく、どなたでもご利用いただけます。以下のような効果があると感覚過敏研究所では考えています。
- マスクがつけられない方が、身につけることで、わずかではありますが周囲が安心できる(白い目で見られることが少し減る)
- 飲食店や接客業の方がご利用することで、お客様に安心感を与えられる。
どちらも相手の「安心感」、つまり身につけている方の優しさや配慮にもなります。もちろん、自分がつけていることでの安心感もあると思っています。
おわりに
マスク問題、いつまで続くのでしょうか?安心・安全に感染予防できることが一番望ましいですが、病気や特性でマスクがつけられない人もいらっしゃいますし、暑い夏や会食などマスクがつけられないシーンもあります。そんなときに、このページでご提案したことを取り入れてみていただければと思います。
感覚過敏研究所 所長 加藤路瑛